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相続税の債務控除とは?July 19, 2023 |
相続税 |
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相続税の債務控除について知りたい
高齢化社会となり、相続問題は多くの人々を悩ますこととなっています。
親から財産を受け継ぐ際、税金がかかってきますよね。
簡単に言えば、それが相続税なのですが。計算方法がとっても複雑です。
相続とは、資産である不動産、動産などを受け継ぐと同時に、借金など負の財産も同時に受け継ぐことになるので、支払うべき相続税を計算する時に、その負債は差し引くことができます。
どんな負債なら差し引くことができるのかをこの記事では解説していきます。
まず、相続税とはどんな税金なのか説明していきます。
1:相続税とは、亡くなった方が残した財産を相続する際にかかる税金
相続税は、相続人の数や関係、財産の種類や価額によって異なります。
相続税の計算、手順を簡単にまとめると以下の通りとなります。
- プラスの相続財産の評価額を算出する。
- 1からマイナスの相続財産の控除を行う(債務控除)。
- 控除後の相続財産から基礎控除を引く。
- 基礎控除後の相続財産(課税財産)を法定相続分通りに取得したものと仮定して、相続税額の総額を求める。
- 4を各相続人の実際の取得割合に按分します。
- 5から配偶者の税額軽減等の税額控除を差し引いて、実際の納税額を計算します。
相続税の申告・納付については期限があり、相続開始の日から10か月以内です。
相続税を納めることで、国の財政に貢献するだけでなく、社会的公平や富の再分配にも役立ちます。
相続税の計算、手順について説明させて頂いたところで、次は先ほどの相続税の計算、手順でも出てきた基礎控除について説明していきます。
2:相続税の基礎控除とは
相続税の計算において、課税対象となる相続財産から一定額を控除できる制度です。相続財産の合計額がこの基礎控除額を超える場合、超えた金額が相続税の対象となります。相続税の基礎控除額は、「3,000万円+(600万円×法定相続人※の数)」で求められます。
※法定相続人とは、民法によって相続する権利がある人のことで、配偶者や子供、親などが該当します。
相続税には基礎控除があり、それを超えると相続税の申告が必要になることがわかりました。次の項目では、相続税を申告する際の債務控除についてお話していきます。
3:相続税における債務控除とは
債務控除とは、相続税を計算するときに、被相続人が残した借入金などの債務を相続財産から差し引くことができる制度のことです。
債務控除の対象となる債務は、①被相続人の債務で相続開始の際,現に存するものであり、②確実と認められるものに限ることとされているため、控除として認められる・認められない項目が多数ありますから、かなり複雑な制度とも言えるでしょう。
ここでは、具体的に債務控除ってどんな制度なのか、詳しく説明します。
相続税での債務控除には
相続人が相続した財産に対して負っている債務の額を相続財産の価額から控除するもの
相続人が相続した財産に関連して発生する特定の債務の額を相続財産の価額から控除するもの
とがあります相続税での債務控除はまず大きくわけて4つの種類分けができます。
4:相続税での債務控除4つ
- 未払費用
- 借入金
- 葬式費用
- 特別寄与料
一つ一つ詳しく説明していきます。
1. 未払費用
相続における未払い費用とはどんなものがあるでしょうか。
相続での未払い費用とは、被相続人が死亡した時点で支払っていなかった費用のことです。相続税を計算する際には、この未払い費用を遺産総額から差し引くことができます。しかし、すべての未払い費用が債務控除の対象になるわけではありません。債務控除の対象になる未払い費用は、次のようなものです。
- 生活費の未払金(水道光熱費、電話代など)
- 公租公課(税金)の未払い金(固定資産税、所得税、住民税、消費税、社会保険料など)
- 医療費の未払い金(入院費用の他に、死亡診断書の作成費用等も含む)
債務控除の対象にならない未払い費用は、次のようなものです。
- 非課税財産に関する債務(お墓の未払代金など)
- 遺言書の検認手続きの費用や遺言執行費用
- 相続開始後から遺産分割が決まるまでの相続財産の維持管理費
2. 借入金
【債務控除の対象になる借入金】
- 第三者(金融機関を含むなど)からの借入金、ローン
ポイント→借入金の残高と未払い利息(死亡日時点)が対象に当たります。
この場合の借入金は、銀行など金融機関からもありますが、親族、友人から借り入れたものも含まれます。親族、友人の場合は、口約束などではなく、借用書があることが望ましいとなっています。お金を貸した証明がいるわけです。
- 連帯債務
連帯債務者として負担額すべき金額が、債務控除の対象となります。
連帯債務者の中に、資力を喪失して弁済できない人がいて求償権の行使ができず、その負担部分も負担しなければならない場合には。その金額も債務控除の対象となります。
【債務控除の対象にならない借入金】
- 住宅ローンでも団体信用生命保険が付いている場合
団体信用保険の付いた住宅ローンとは、住宅ローンの契約者が死亡や高度障害になった場合に、保険金で住宅ローンの残高を返済してもらえる制度です。この保険に加入することで、契約者の家族が住宅を失うことや経済的に困ることを防ぐことができます。この団体信用保険が付いた住宅ローンは控除の対象外となります。
- 保証債務
保証債務とは、債務者が債務を履行できない場合に、保証人が債権者に対して債務の支払いをすることを約束した債務のことです。保証債務は、契約によって成立する民法上の債務であり、保証人は債務者と連帯して債務の責任を負います。
俗にいう「借金の保証人」ですね。債務控除の対象となる債務とはとは、上述のとおり、相続開始時に確実となっている債務に限られることから、原則的に保証債務は、債務控除対象外となります。
ただし、相続開始時に、主たる債務者が弁済不能で、保証人が債務を履行しなければならないような時には債務控除の対象となります。
3 葬式費用
債務控除の対象になる葬式費用は、次のようなものです
- 火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用
- 遺体や遺骨の回送にかかった費用
- お通夜など、葬式の前後に生じた費用で通常葬式にかかせない費用
- 葬儀にあたり、お寺などに対して支払ったお布施などの費用
- 死体の捜索または死体や遺骨の運搬にかかった費用
- 債務控除の対象にならない葬式費用は、次のようなものです
- 香典返しのためにかかった費用
- 仏壇・仏具、墓地・墓石を買うためにかかった費用や墓地を借りるためにかかった費用
- 初七日や法事などのためにかかった費用
通常であれば、配偶者が喪主となり、葬式費用も負担することが多いです。
しかし、配偶者に対する相続税額の軽減という制度があり、最低でも1億6,000万円までの相続財産には相続税がかからないようになっています。
参考URL:No.4158 配偶者の税額の軽減|国税庁 (nta.go.jp)
こうなってくると、配偶者が存命で、葬式費用を負担しても葬式費用の控除は難しいとなりますよね。葬式費用は、子供たちで負担した方が、債務控除の対象となり節税対策にもなると考えられます。
4. 特別寄与料
債務控除を利用できる人は、相続人や包括受遺者です。相続人や包括受遺者であっても、相続や遺贈で財産を取得した時に日本国内に住所がある人や日本国籍を有する人に限られます。債務控除は、相続放棄したり、制限納税義務者には利用できません。
葬式費用を負担した人の相続分から葬式費用が控除されます。
通常であれば、配偶者が喪主となり、葬式費用も負担することが多いです。
しかし、配偶者に対する相続税額の軽減という制度があり、最低でも1億6,000万円までの相続財産には相続税がかからないようになっています。
参考URL:No.4158 配偶者の税額の軽減|国税庁 (nta.go.jp)
こうなってくると、配偶者が存命で、葬式費用を負担しても葬式費用の控除は難しいとなりますよね。葬式費用は、子供たちで負担した方が、債務控除の対象となり節税対策にもなると考えられます。
相続が発生した場合は、未払い費用を正確に把握し、債務控除の対象になるかどうかを確認して、この制度を上手に活用することで相続税の負担を軽減することができます。
まとめ:相続税での債務控除は複雑な制度
今回の記事で、相続税での債務控除についてお話してきました。
債務控除の対象になるものに、未払費用、葬式の費用などがあることもわかっていただけたのではないでしょうか。
相続する中には、相続したいものとしたくないものがあるかも知れませんし、受け継ぐ資産の種類も預貯金・貸付金などの金銭債権、土地・建物などの不動産、有価証券など多岐にわたります。
相続財産の評価や計算、申告書の作成などは専門的な知識や経験が必要であり、相続税の節税方法や特例の適用なども、税の専門家である税理士に相談することで有利になる場合があります。納税は国民の義務ではありますが、本来納めるべき納税額より多く納税する必要はありません。
相続での債務控除に関して、もっと知りたい、ご不明な点があれば是非、増田浩美税理士事務所にご相談ください。初回の相談料は無料です。贈与等を活用した生前の対策もご相談いただけます。あえて贈与税を支払ことで相続税と贈与税の合計額が少なくなる場合もあります。シミュレーションもできますので、お気軽にお問合せください。