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相続お役立ち情報

相続税を支払って貧乏!?

July 05, 2023

相続税

親や配偶者が多くの不動産や預貯金、株式等、多額の財産を残して亡くなった場合、「相続税」がかかります。

相続税の目的は、財産の公平な分配や社会保障の資金源となることですが、一方で、相続税が高すぎると、大きな負担になるという意見もあります。相続税を支払うために借金をしたり、生活の基盤となる自宅不動産を売却しなければならなくなる、ということもあるのです。このような状態を相続貧乏などとも呼ばれます。

1.相続貧乏になりやすい、いらない「負動産」

ここでは、いらない相続の代表格といえる不動産についてお話していきましょう。
いらない不動産、いわゆる「負動産」と言われているものです。

1-1.山林

大昔ならば、山持ちといって富裕層と言われたのですが、今は、よっぽど管理が行き届いて、材木などの資源が供給できるシステム等あればいいのですが、荒れ果てた山を相続すると、固定資産税はもちろん、もし、台風で土砂災害など起こしてしまい、木々が周りの民家などに倒れ家屋倒壊など引き起こしたら、損害賠償ということもあり得るのです。いらない負動産の代表格と言えます。

1-2.郊外ニュータウンや地方の最寄り駅から遠すぎる実家

地方出身で、両親は健在なうちはいいですが、その両親が亡くなった時の相続で困るのは親が住んでいた「実家」です。自分が育った実家、思い出は尊いですが、家の評価額は思いのほか低い。しかしながらシッカリ建物と土地には固定資産税がかかってきます。そしてなかなか売却も難しいです。誰も住まなくなった家は、劣化も激しく、時間が経過ごとに売れにくくなります。家が荒れてくると近隣の住民から苦情が寄せられる、防犯面からもよろしくありません。そこで建物は解体して更地にすると、解体の費用がかかるだけでなく、更地のほうが固定資産税も高くなります。

え?ちょっと待って。更地のほうが固定資産税が高くなるとはどういうことなのでしょうか?

更地のほうが固定資産税は高くなる?

更地のほうが固定資産税は高くなる理由として、固定資産税は、土地や建物などの不動産の価値に応じて課される税金だからです。不動産の価値は、市場での取引価格や評価基準によって決まりますが、一般的には、建物がある土地よりも、建物がない土地のほうが、価値が高いと見なされます。これは、建物がない土地は、用途や開発の自由度が高く、将来的な利用価値が高いと考えられるからです。したがって、更地のほうが固定資産税は高くなります。不動産の価値に基づいて税金が課されるという仕組みを反映した結果と言えます。

このことから地方では空き家が増え続けて、いわゆる空き家問題が浮上して深刻化していくのですね。

1-3.老朽化が進むマンション

年老いた両親が住んでいたマンションとなるとだいたい築年数が経ち老朽化が進んだ状態ではないでしょうか。築年数が古くなると、マンションの建物や共有部分の老朽化が進みます。定期的な改修や修繕を行うことで、マンションの寿命を延ばすことができます。しかし、改修や修繕には多額の費用がかかりますし、住民間で合意を得ることも難しい場合があります。建て替えをする場合も、全体の5分の4以上の賛成が必要ですし、解体費用も高額になります。

室内のリフォームもかなりお金がかかりますが、専有部分はある程度自分が好きなように決めることもできます。しかし、共有部分の改修・改善となると管理組合で臨時総会を開催して、決議をする必要もあるということです。

2.タワーマンション購入が相続税での貧乏回避になるって本当?

タワーマンションに限らず、一般的に現金や預貯金で相続する場合よりも、不動産で相続した方が相続税の負担が小さくなります。これは、不動産は、路線価や固定資産税評価額をベースに評価しますが、この路線価や固定資産税評価額が、一般的に実勢価格の7~8割程度だからです。 不動産の中でも、さらにタワーマンションは、高層階ほど実勢価格が高くなるのに対して、相続税評価額は専有面積が同じであれば階層に関係なく同じだったため、相続税を大幅に減額できる節税スキームとして活用されてきました。

2-1.タワーマンション節税の見直し

低層階と高層階で、実勢価格に乖離があるのに対し、税負担が同じなのはおかしいということで、すでに固定資産税については、2017年の税制改正において見直しがされており、相続税評価額についても2024年から改正する見通しです。

国税庁が公表した、改正後の相続税評価額の算出ルール(案)は、まず、【実勢価格÷従来の評価額】により、実勢価格との乖離率を計算し、算出された乖離率が1.67倍以上の場合には、実勢価格に0.6を乗じて評価額を算出します。

改正後の相続税評価額の算出ルール(案)適用後も、乖離率が1.67倍未満であればこれまで同様のルールが適用となりますが、乖離率が小さければ相続税の節税効果も小さくなるため、総じて、改正後の相続税評価額の算出ルール(案)適用後は、タワーマンション購入での相続税の節税効果は大きくは望めなくなります。しかしながら、不動産を活用した相続税対策は、今後も有効ですから、専門家に相談しながら、価格が値下がりしにくい物件を購入するなど検討してみましょう。ただし、遺産が不動産だけという場合には、不動産を譲渡して納税資金を準備したり、物納の相談をするために税務署に何度も通わなければならなくなってしまうということもあり得ます。不動産で相続税対策をする場合には、長期的なメリット・デメリットを十分に考慮して検討するようにしましょう。

3.相続税で貧乏になりたくないのなら対策が不可欠

相続税対策とは、ここまで解説してきた通り、相続が発生したときに支払わなければならない相続税の負担を軽減するための方法です。相続税対策には、他にも生前贈与、信託、生命保険の500万円非課税枠の活用、遺言書などがあります。また、遺産分割の方法によっても相続税を減額できる場合もあります。相続税対策を行うことで、相続人の財産保全や家族の円満な関係を維持することができます。

3-1.重要なのは、被相続人の生前のうちに話し合うこと

家族間でも、聞きにくいことってありますよね。

  • 親にいくら貯金があるのか?
  • どこの金融機関に預金があるのか?
  • どこに土地家屋の権利書をしまっているのか?
  • 投資などやっていて、利益はでているのか?損失があるのか?

しかし、相続対策をなにもせずに亡くなってしまうと、亡くなった後に、何も知らされていない配偶者や子供たちに多大な迷惑と、場合によっては、お金もかかってしまう、いわゆる相続貧乏に陥れてしまうかも知れないのです。

重要なのは、普段から「お金」の話を家族会議しておく必要があるということです。これが一番の対策とも言えるかもしれません。

4.相続対策は専門家と相談しながら進めることが大切

相続税対策は、相続人の数や財産の内容、相続人の希望や事情によって異なります。そのため、専門家のアドバイスを受けることが重要です。家族会議の一員に税理士を加えてみてはいかがでしょうか。税理士ならば相続財産の評価や贈与税の計算など、相続税の仕組みに精通しており、最適な対策を提案することができます。相続税対策を怠ると、相続税の納付期限に間に合わなかったり、相続人間でトラブルが起きたりする可能性があります。相続税対策は、早めに始めることが望ましいです。

特別寄与者に特別寄与料を支払った相続人は、その特別寄与料相当額が相続税の申告時において債務控除の対象になります

・特別寄与料とは?

相続での特別寄与料とは、相続人ではない被相続人の親族が、被相続人の介護や被相続人の、財産の維持又は増加について特別の寄与をした場合に、当該寄与に応じた額の金銭をいい、特別寄与者は、相続人に対し、特別寄与料を請求することができます。なお、特別寄与者が受け取る特別寄与料は、相続税の課税対象になり、この場合の特別寄与者の相続税額は2割加算となります。

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