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【相続人一人の名義で遺産売却 譲渡益を分け合う場合の税金】納税通信3667号 vol.3

April 19, 2021

相続税

Q3 相続人一人の名義で遺産売却 譲渡益を分け合う場合の税金



母の相続の法定相続人である私と弟は、それぞれ自宅を持っているので、母が生前に居住用として保有していた自宅の敷地と建物は空き家となってしまい、管理も難しくなるため、売却することにしました。売却益は2人で分け合いますが、便宜上、私一人の名義にして売却する予定です。譲渡所得税は私だけが支払うことになるのでしょうか。



A3 相続財産を譲渡して得た利益は譲渡所得税の対象です。相続人一人の名義で遺産を売却しても、譲渡所得を分け合うことを分割協議などで決めているなら、相続人それぞれが受け取り分に応じた譲渡所得税を支払います。



遺産分割協議などで実家の土地・建物を売却して譲渡益を分割するという合意があれば、たとえ一人の名義に登記をした後に、代表者として単独で売買契約の手続きをしても、利益を受け取る相続人それぞれが譲渡所得税を支払います。



遺産相続をする際の分割の方法には、①相続財産を単独所有または持分を共有する「現物分割」、②相続人の一人または複数人が相続財産を取得して、他の共同相続人に一定の金銭を支払う「代償分割」、③相続財産を売却してその代金を各相続人に分配する「換価分割」という3つの方法があります。代償分割は相続人のうち一人が不動産などの現物資産を引き継ぎその分他の相続人に、不動産などを引き継いだ相続人の預貯金から資金を捻出し、代償部分を他の相続人に渡して精算する方法です。



換価分割では、譲渡した相続財産を合意した代金配分の割合で各相続人が取得します。不動産を売却して現金で分けた方が、家族間で関係を悪化させずにスムーズに相続できる場合や、不動産を単独で相続すると遺留分を侵害してしまう時などに選択される分割の手段です。



換価分割は不動産などを保有し続けることができないというデメリットがありますが、売却することで、きれいにわけられるため現物で承継する場合と異なり、不公平が生じることなく問題になりにくいというメリットがあります。評価額を記載して財産を一覧にして、すべて現金化した方が分けやすいという場合はトラブル対策として換価分割を選択するとよいでしょう。



当記事で解説した例のように親の財産を換価分割をする際の注意点としては不動産を売却して換価分割をするケースでは遺言や遺産分割協議書を作成する際に、記載する必要があるということです。遺言書がなく相続発生後に検討する際はしっかりと全員で分割の内容を話し合って合意をしたうえで記載しておく必要があります。



もちろん、換価分割をする際は、遺産分割協議書に記載する内容や書き方も重要となります。被相続人が亡くなってからは、相続開始後10ヶ月以内の相続税を算出して納付をする法的義務があり、さまざまな期限が迫る中で、ポイントをおさえて短い期間で対応を進める必要があります。評価額や特例・控除の利用可否を確認することや相続税を計算することは簡単ではありませんので、早めに対応を進めていく必要があります。



費用はかかりますが、司法書士や税理士など専門家にサポートを依頼することで手間を省き、安心して続きを進めることが可能です。また、不明な点も専門家から説明を受けることで解消することができるでしょう。知り合いに紹介してもらうことが難しい場合はホームページなどで相続関連の対応の実績が豊富な専門家を検索するようにしましょう。また、相続の手続きは1回で終わることはなく、何度も通うことが多いため、自宅からアクセスが良い事務所に依頼し、負担を減らすようにしましょう。



初回の相談は無料で応じてくれるケースも多いので、まずは気軽に電話やメールなどで相談して、どれくらいの時間と費用がかかるか相談してみるとよいでしょう。



遺産分割協議書などで換価分割をすることが明記されていないと、単独で相続し、名義変更をした財産を、その後に譲渡したと税務署に判断され、課税される可能性があります。さらに、譲渡後に分配した金銭について贈与と判断され、贈与税が請求される事例もあります。価格が大きい不動産の場合、売却代金を贈与することになると、税率も高く多額の税額を請求される可能性がありますので注意が必要です。



納税通信 』 は、オーナー社長向け財務・税務専門新聞です。 発刊から約70年、経営者のみならず、会社経営のパートナーである税理士等専門家からも貴重な情報紙として多くの支持を得ています。



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