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【遺言の「財産受取人」 すでに死亡していたら?】納税通信3668号 vol.3

April 19, 2021

相続税

Q3 遺言の「財産受取人」 すでに死亡していたら?

私たちのいずれかが死亡した時には夫婦間で全財産を受け渡せるようにするという目的で、遺言を書きました。仮に私が先に死亡して、その後に妻が遺言を書き換えずに死亡した場合、妻の財産は誰のものとなるのでしょうか。



A3 遺言書で財産の受取人に指定された人が死亡している場合には、その人に関する遺言書の内容は無効になります。相続が予定されていた財産は、他の法定相続人が遺産分割協議で分け方を決めることになります。



財産を受け取る予定の人が遺言を残す人より先に死亡した場合は、遺言書の記載内容は無効となってしまいます。遺言書が無効になると、受遺者が受け取る予定だった相続財産については、他の相続人に帰属することになります。すなわち遺言書がなかったときと同じく、法定相続人全員の遺産分割協議によって、誰がどの財産を相続するかということを決定することになります。相続人の数が多い場合は話し合いに時間がかかることが多く、特に注意が必要です。



もし財産を残したい相手が先に死亡することを想定して次の相続人を決めたいのであれば、例えば「私の全財産は妻に相続させる。ただし、妻が私より先あるいは同時に死亡した場合には私の弟に相続させる」といった内容の遺言を残します(予備的遺言)。予備的遺言の設定は必須ではありません。しかし、複数人で話し合うとそれぞれの事情や考え方が異なるためなかなかまとまらないケースもあります。



年齢が近く、先に亡くなる可能性がある人がいる場合は、亡くなった後に相続手続きで困らないように出来る範囲で予備的な内容を記載しておく方がよいでしょう。



当記事で解説したケースのように配偶者や兄弟姉妹に財産を遺す場合、子や甥姪などの誰に遺すかを記載しておいた方がよいでしょう。遺言は何度でも変更することが可能ですので、現時点の関係で財産を誰に遺したいかを記載しておけば十分です。



また、法定相続人の数×500万円までの非課税枠を使用することができるため生命保険を契約している人も多いでしょう。生命保険は受取人固有の財産として遺言とは異なる扱いとなります。



保険契約者・被保険者となり保険に加入している場合、保険金の受取人が亡くなったケースは、一般的に民法で定められた受取人の法定相続人が手続きをして保険会社に請求することが可能です。



多くの場合、受取人の相続人の中での代表者が手続きを行い、対象となる法定相続人が均等に受取りますが、必ずしも被相続人の相続人とは同じとは限りませんので注意が必要です。自分の保険契約が現在どのような状態になっているか、亡くなってから家族が困らないように、相続が発生する前に確認しておきましょう。



相続発生後は原則10ヶ月以内に相続税を計算し申告書類の作成と税金の納付を行う必要があるなど何かと期限があり、あっという間に時間が過ぎてしまいますので自分でできることは事前に対応しておくことが重要です。疑問に感じることがある場合は司法書士や税理士など専門家に相談するようにしましょう。



予備的遺言は遺言書の必須要件ではありません。そのため、専門家が不備を指摘してくれる「公正証書遺言」の作成の際に予備的遺言に該当する記載がなくても、そのことを指摘してくれないので注意が必要です。



納税通信 』 は、オーナー社長向け財務・税務専門新聞です。 発刊から約70年、経営者のみならず、会社経営のパートナーである税理士等専門家からも貴重な情報紙として多くの支持を得ています。

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