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【相続時の課税財産 繰延資産の判断は?】納税通信3747号 vol.2

November 13, 2022

相続税

Q2 相続時の課税財産 繰延資産の判断は?

 

 先日、個人事業を始めて間もない夫が亡くなり、私が事業を引き継ぐことになりました。昨年の確定申告書を確認したところ、貸借対照表の資産の部に開業費として約400万円の金額が計上されていました。この開業費は、相続税の計算上、課税財産に含めなければならないのでしょうか?

 

A2 財産性の有無で判断します。

 

 相続税法に繰延資産についての規定は特にありませんが、一方で「金銭に見積もることができる経済的な価値のあるすべてのもの」を課税財産とする旨の規定があります。

 ここで言う繰延資産とは、業務に関して支出した費用で、支出の効果が支出の日以後1年以上に及ぶものを指し、例えば個人事業主が事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出した費用(開業費)などが該当します。

 繰延資産は、すでに支払済みの費用であることから、一般的には財産性はないと考えられ相続税の計算上は課税財産に含めませんが、契約を解除したときに返還金などがあれば、その返還金等は相続税の課税財産に含めることになります。

 

 相続税は相続税の死亡の翌日から原則10ヶ月以内に相続人が相続税の申告を行う必要があります。当記事のケースのように個人事業などを行っている場合や非上場企業を経営している場合や事業用の資産がある場合、一般的な相続よりも財産の価額が求めにくい部分があります。

 

 短い期限で申告する必要はあるのですが間違った申告を行った場合、後で、税務署から調査され、加算税を請求される可能性もあります。亡くなった後に手続きの準備を行う人が多いですが、可能であれば相続が発生する前に課税対象となる預貯金や株式、所有する土地・建物、負債などマイナスの財産も含めて一覧にし、相続税のシミュレーションをしておくとよいでしょう。相続財産の評価方法や税の計算の方法、特例の適用可否が分からない場合は、税理士に依頼するようにしましょう。税理士を知り合いに紹介してもらうことが難しい場合はホームページなどで相続に詳しい税理士を探してみるとよいでしょう。

 

 

 相続や遺贈によって取得した財産の中に、取引相場のない株式(出資を含む)があれば、当該法人の繰延資産が「財産性のある資産」として評価すべきものか否かがその株価の計算に関係しますので注意が必要です。

 

 

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