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【遺留分侵害額請求で和解 相続税の手続き必要?】納税通信3745号 vol.2October 28, 2022 |
相続税 |
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Q2 遺留分侵害額請求で和解 相続税の手続き必要?
3年前に亡くなった父の遺言は、父の事業を継ぐ長男である兄に金融資産や土地・建物等の不動産などすべての財産を承継するという内容で作成されていました。しかし最後まで父の介護をしていた私としてはこの対応に納得できず、相続放棄はせず、民法で定められている最低限の権利である遺留分侵害額請求しました。そして先日、協議による和解が成立し、私が主張した通り、兄から和解金をもらうことになりました。兄から金銭をもらったことで、配分に関する問題は解決したのですが、和解前に一度支払っている相続税の手続き等のやり直しをする必要はありますか?
A2 和解成立から4カ月以内に修正申告または更正の請求を行います。
遺言書があっても、法定相続人全員が配分方法に合意をすれば、自由に配分を決めることができます。 今回の事例のように相続開始後に遺留分侵害額請求によって、遺言書とおりには分割せず、遺産分割をやり直す流れとなった際、取得する相続財産に増減があれば、配分が変更となった時に税務署に申告する法的義務があります。取得金額が増加した人は修正申告および納付を、遺産の取得金額が減少した人は更正の請求を行います。
原則として、申告期限を過ぎてからの納付までの間は延滞税が発生しますが、遺留分侵害額請求の和解で和解成立から4カ月以内に修正申告・納税を行えば対象外です。
なお、当初相続財産を何も取得していなかった人が、遺留分侵害額請求の和解成立により申告義務が発生したときも、4カ月以内に期限後申告書の提出・納税を行えば、加算税・延滞税の対象外となります。
遺産相続のお悩みは専門家に相談し、負担の軽減を
上記に記載した当記事の事例では兄弟で交渉し、和解が成立していますが、知識がない人同士で感情的になり争いになると家庭裁判所での調停や審判に発展し、なかなか解決せず、関係がさらに悪化するケースが多くあります。
遺言書があっても妻や子の遺留分を侵害している場合や兄弟姉妹のうち一人が多額の生前贈与を受けているなどトラブルに発展した場合は、不動産の登記など名義変更ができない状態のまま数年かかるケースも多くあります。子ども同士で話し合いによって合意をすることが難しい状況の場合は、業務として相続問題を取り扱っている弁護士を交えて交渉するようにしましょう。
また、財産を取得した者は被相続人が死亡した翌日から10カ月以内に相続税の申告を行う必要があります。話しあいが長引いたとしても、期限から遅れることは認められません。
相続税の申告について、各財産の評価や計算、特例の活用など判断が難しい点がある場合は税理士に相談し、サポートを依頼することも可能です。申告を依頼した場合は費用がかかりますが、初回の相談はサービスで無料で応じてくれるケースが多いので、まずは電話やメールなどで気軽に相談してみるとよいでしょう。税理士にも専門分野がありますので、相続に強い税理士に依頼することをおすすめします。生前に、自亜sなの一覧をつくり現時点でかかる税金を確認し、相続人も交えて分割の方法について話し合いを行っておくことで、相続対策をすることも可能です。
和解の成立により修正申告書を提出・納付をする場合には、和解成立を証明する書類を添付することを忘れないようにしましょう。和解を証明できる書類を提出しない場合には、通常の修正申告書と同じ扱いとなり延滞税が発生します。
『納税通信 』 は、オーナー社長向け財務・税務専門新聞です。
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