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【相続時精算課税を適用 後日の贈与は申告必要?】納税通信3743号 vol.1

October 13, 2022

相続税

Q1 相続時精算課税を適用 後日の贈与は申告必要?

 

 私は3年前の自宅購入の際、父から2000万円の贈与を受け、相続時精算課税制度を適用しました(届出および申告は提出済み)。今年、父から少額の現金の贈与を受けましたが、贈与税の申告は必要ですか。

 

A1 暦年課税に係る基礎控除は適用されないため、少額でも申告が必要です。

 

 相続時精算課税とは、原則として60歳以上の父母または祖父母から18歳以上(*)の子や孫への贈与時に、課税価格から2500万円の控除を受けることができる制度です。制度の適用を受けた財産については、贈与者が死亡した時点で相続財産に含めて相続税額を計算し、すでに納付した贈与税がある場合には納付済みの贈与税を精算することになります。

 相続時精算課税をいったん選択すると、暦年課税に係る贈与税の基礎控除の規定は適用されませんので、贈与があれば金額の多寡にかかわらず、すべて申告をしなければなりません。ただし、この選択は受贈者が各々、贈与者ごとに行うことができるため、相続時精算課税を選択した贈与者(特定贈与者)以外の者からの贈与については、その財産の価額が基礎控除額以下であれば申告の必要はありません。

*令和4年3月31日以前の贈与については「20歳以上」

 

2024年に相続時精算課税制度は大幅に改正(2024年2月追記)

 2024年に相続時精算課税制度は大幅に制度の内容が改正され、2024年以降は当記事の解説とは異なる結論となりました。相続時精算課税制度では年間110万円の非課税枠が新設され、年間110万円までの取得であれば申告は不要となりました。ただし、相続時精算課税制度を最初に選択し、贈与を行った翌年には相続時精算課税制度を選択する旨の届出書を翌年2月1日から3月15日までの期限内に税務署に提出する必要があります。もし、期間中に相続が発生した場合は、相続発生後に提出することも可能です。2,500万円を超えた部分の税率は20%のままで改正はありません。

 

 これまで、一般的に生前贈与を行う人は相続時精算課税制度よりも非課税枠のある暦年贈与を選択していました。これまでの相続時精算課税制度は財産を先に渡すだけで、暦年贈与のような非課税枠がないため、現金を贈与しても税額を抑えることができず、事業を行っている場合の株式の承継や不動産な度将来評価が高くなる可能性が高い財産や収益を生み出す資産を贈与する際の方法としてしか選択されていませんでした。

 

 今回の改正により暦年贈与の相続財産への繰り戻し加算が3年から7年に延長されたことや相続時精算課税制度に110万円の非課税枠が新設されたことで、税金対策で生前贈与を行う人の中で相続時精算課税制度を利用する人は増えていくでしょう。それぞれのメリットとデメリットがありますので、暦年贈与を選択するか、相続時精算課税制度を選択するかは贈与者の年齢や財産にもよりますので、課税の対象となる資産を一覧にして、贈与によりどれくらい節税となるかシミュレーションをしてみるとよいでしょう。

 

 自分で税金のシミュレーションや申告手続きを進めることが難しい場合は税理士に依頼するようにしましょう。税理士にサポートを依頼することで特例の利用時に添付する書類も準備してもらうことができますし、税務調査の対応も依頼することができます。また、事前に税理士に対応を依頼しておくことで相続人の負担を大きく減らすことができるでしょう。また、生前に遺言書の作成や遺産分割について相談することも可能です。

 

 

 相続時精算課税制度を利用して土地を贈与した場合、その土地に小規模宅地等の特例を適用することができなくなります。相続時精算課税制度を利用する際は、暦年贈与との比較も含め、十分に検討しましょう。

 


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発刊から約70年、経営者のみならず、会社経営のパートナーである税理士等専門家からも貴重な情報紙として多くの支持を得ています。

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