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【公正証書遺言 入院中でも作成可能?】納税通信3736号 vol.3

August 27, 2022

相続税

Q3 公正証書遺言 入院中でも作成可能?

 

 入院中の母が遺言書を作成したいと話しています。不備のないよう公正証書遺言書のほうがよいと思うのですが、入院中でも作成できますか?

 

A3 公証人に病院や自宅などに出張してもらって作成が可能です。

 

 公正証書遺言は、作成時点で法律上効力があることが確定し、自筆証書遺言のように検認等の対応をする必要がありませんので相続人の負担は少なく済むでしょう。また、公証役場で保管してもらえるため紛失や偽造、変造のリスクがないというメリットもあり安心です。

 公正証書遺言を作成する場合は本来は遺言を残す方が公証役場まで出向き署名・捺印のうえ作成します。しかし、諸事情により公証役場まで行けないときは、公証人に病院や自宅などへ出張をしてもらい、公正証書遺言を作成することができます。また、手話通訳士などの通訳人が立ち会うことで、聴覚・言語機能に障害のある人でも作成ができます。

 ただし、通常の作成手数料の他に、病床執務手数料(証書作成費用の2分の1)、公証人の日当、交通費が別途必要となります。

 公正証書遺言を作成する際には、必ず2人以上の証人が必要です。未成年者や推定相続人、遺贈を受ける予定の者は証人になれません。そのため、もし適当な証人が見当たらなければ、その旨を公証役場で申告することで業務として証人を行っている行政書士や司法書士など適当な人材を紹介してもらうことができますので依頼してみるとよいでしょう。

 

 遺言を作成する際は預貯金や株式、不動産などの財産を一覧にして、相続発生後に相続財産を誰に何を相続させるか細かく内容を決めていくという流れで行います。そのため、普段の生活のために必要な買い物よりも高度な意思能力が必要となり病院で作成する場合は遺言者本人の健康状態や意思能力に注意が必要です。高齢の遺言者が認知症などの病気で意思能力が問題となり、せっかく公正証書の手続きを行っても遺言が無効となり、初めから遺産分割の話し合いをすることになる事例もあります。このような事例では、弁護士を交えて家族と争いとなり関係が悪化することが多いため、トラブル防止のための対策として行った遺言作成がかえってトラブルになるケースもあります。

 

 

 コロナ禍で面会時間や面会数を制限している病院や施設が多いので、最低限の人数、時間で済ませられるよう事前確認や事前の準備をしっかりしておくようにしましょう。

 

 

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発刊から約70年、経営者のみならず、会社経営のパートナーである税理士等専門家からも貴重な情報紙として多くの支持を得ています。

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