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相続お役立ち情報
【相続税対策で不動産購入 たくさん買うだけ得に?】納税通信3733号 vol.3August 04, 2022 |
相続税 |
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Q3 相続税対策で不動産購入 たくさん買うだけ得に?
不動産を購入すると、一般的に不動産の評価額は不動産の購入金額の7~8割程度になるそうですが、ということは借金して不動産を複数購入すれば、短期間で多額の相続税対策ができますね?
A3 過度な相続税対策とみなされれば時価評価が適用されることもあるので慎重な判断が必要です。
不動産の保有が相続税対策となる理由は、相続税評価額が時価よりも一般的に2~3割は低いからです。土地は路線価×面積、家屋は固定資産税評価額でそれぞれ評価を行いますが、1億円で購入した不動産は一般的に7000~8000万円程度になります。 アパートや賃貸マンションなどの収益物件の用地として利用する部分は自分で使う不動産や更地に比べて貸家建付地として土地の評価減が適用されてさらに低くなります。現金を不動産に変えることで計算上は財産の評価額が下がるため節税につながります。財産が多い人にとっては短期間で評価額が下がりますので、効果的な方法のひとつといえるでしょう。
ただし、時価と相続税評価の差額があまりに大きく、購入時期が相続開始直前で、かつ相続開始直後に売却を行うなど「過度な相続税対策」と判断されれば、一般的な基準である路線価や固定資産税評価に基づく不動産の評価ではなく、不動産鑑定による時価評価を採用すべきと判断されることがあります。
不動産を購入し、相続税対策を行おうと考えている方は、まずは預金や不動産など財産をまとめて一覧にして現状の相続税がどれくらいかかりそうかをシミュレーションをすることをおすすめします。現時点のシミュレーションをする時は居住用の自宅に利用できる小規模宅地の特例や配偶者控除など各種特例もチェックし、利用できるものは使った前提で詳細な計算をするようにしましょう。
実際に基礎控除や特例の分が差し引かれて、課税の対象とされる金額を確認することで本当に不動産投資をして相続税対策をする必要があるか判断することができます。知識がなく相続税の計算について自分で行うことが難しい場合は税金の専門家である税理士に相談してみると良いでしょう。場合によっては、生前贈与など別の方法で税金を減らすほうがよいかもしれません。相続対策は家族や財産の状況によって対応はさまざまですので、税理士に相談することで、それぞれにとって良い方法をアドバイスしてくれるでしょう。税理士に相談する場合は税理士のサイトで相続や贈与関連の手続きや提案を普段から行っている税理士事務所・税理士法人を探して相談するようにしましょう。
不動産で相続税対策をする際の注意点
不動産を購入することで、購入前と比較すると結果として相続税が安くなるケースは多く、メリットがあります。
一方で不動産で相続税対策をする際はどのような点に気を付ければよいのでしょうか。不動産を所有する場合の注意点について解説します。
まず一点目として、不動産を所有し、経営すること自体にリスクがある点があげられます。賃貸アパートやマンションを建てて、他人に貸すことで毎月の収入を見込むことができます。しかし、空室が多くなってしまい、入居者が見つからない状態が長く続くと利回りが落ちてしまい、赤字になってしまう可能性がありますので、必ずしも投資がうまくいくとは限りません。
相続財産を減額できるという節税できる税額以上に事業による赤字のほうが大きくなってしまっては意味がありません。そのため、不動産会社から物件を紹介してもらって取得する場合は現状の収支だけでなく、将来に渡って利益をあげ続けることができるか立地や建物の構造や築年数を見極めて購入する必要があります。
新築の場合は、比較的入居者が付きやすいですが、年数が経過すると他の物件に比べて見劣りする可能性があります。不動産会社から説明を受けても長期にわたって利益を上げ続けられるか人気の地域して貸付できるか判断することは簡単ではないでしょう。
また、万が一地震や台風などの天変地異により、建物が大きな損傷を負った場合、大規模な修繕費が必要となりますし、資産価値も目減りしますので売買するとしても大きく価格が下がってしまい、投資は失敗に終わる可能性がありますので、リスクとして認識しておくことが大切です。
当記事のように自身のお金ではなく購入資金を借入金も含めて建物を建築している場合、金利が上昇し、債務の借入条件が変更となるリスクもあります。金利が上昇することで、借入金に対するコストが上がってしまい、毎月入ってくる家賃との収支のバランスが崩れてしまい返済が難しくなる可能性があるでしょう。被相続人が生前に借りていた借入金も負の遺産として相続人がそのまま承継することになりますので、亡くなってからもマイナスの財産として相続人が負担を負うことになります。
もう一つの注意点は遺産の配分が難しくなる点があげられます。実際に相続が発生するとすべての財産を相続人全員で合意のもと、取得する割合を決定する必要があります。評価の高い不動産がある分、不動産を誰かひとりが取得すると不公平になる可能性があります。万が一相続人間で意見の違いがあり、もめてしまった場合は家庭裁判所で争うことになる可能性もあります。
同じ持分で共有をすることも可能ですが、共有にした後、修繕にかける費用や売却のタイミングで意見があわず、うまく運営ができない事例も多くあります。また、子供二人に共有させた場合でも次の相続が発生すると孫同士が共有状態となり、共有者も多く、関係も希薄になった例では、さらに運営が難しくなる傾向があります。
相続税の申告期限は相続発生後10カ月以内に税務署に申告書の提出と納付を完了させる必要がありますが、期間内に遺産分割協議を行って誰が不動産を受けるか決めることが出来ない人も少なくありません。期限内に申告できないと、税務調査で指摘され、特例や控除ができなかったり、一定の延滞税が発生したりするなどデメリットも大きいので注意が必要です。
不動産を購入することで配分に不安がある場合は遺言書を作成し、相続が発生する前に遺産分割の方針を決定しておくなど、対策を検討しておくとよいでしょう。遺言書を作成しておくことで、相続人の負担を大きく抑えることができます。遺言の書き方がわからない場合は弁護士や司法書士など専門家にサポートを依頼し、しっかりと登記などの手続きもできるようにしておきましょう。
過度な相続税対策が行われたと判断される基準はきわめて曖昧です。不動産を活用して相続税対策は慎重かつ長期的な目線で行うようにしましょう。
『納税通信 』 は、オーナー社長向け財務・税務専門新聞です。
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