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【生前のリフォーム費 相続で考慮必要?】納税通信3728号 vol.3

June 30, 2022

相続税

Q3 生前のリフォーム費 相続で考慮必要?

 

 父が先日亡くなりました。父は亡くなる直前に、相続税対策になるからと勧められて自宅のリフォームをしていました。費用は全部で550万円ほどかかっていますが、相続税の計算上は全く考慮する必要はないのでしょうか?

 

A3 修繕でなく、資産価値や耐久性が向上していれば相続財産として計上が必要です。

 

 戸建てやマンションなどの建物部分の相続税評価額は固定資産税評価額と同じです。しかし相続発生の直前に、被相続人が資金をかけて家屋をリフォームしている場合や、そもそも建築確認申請の必要がなく固定資産税評価額が改定されないリフォームは、その内容が固定資産税評価額に反映されていません。このような場合に固定資産税評価額のみを建物の相続税評価額として申告すると、増築した床面積部分に対して申告漏れの指摘を受けることになります。

 リフォームが通常の維持管理や実際に暮らすために必要な原状を回復するための費用であれば、相続税評価額に加算する必要はありませんが、資産価値を高めたり、耐久性・耐震性を増したりするようなリフォーム工事であれば、新築の場合と同じく、売却する際の価値も高くなりますので、価値増加分に対して相続税評価額に加算して計算します。加算する額は、リフォーム費用から償却費相当額を差し引いた額の70%となります。

 

 当記事で解説したように親から子が相続で取得する家が事前にリフォームされているケースは多くありますが、リフォームには大規模に構造を変更するような増改築や設備の増築を伴うものや外壁をすべて塗り替えるようなもの、省エネやバリアフリーなどを目的とした大規模な改修があれば、トイレやキッチン、壁紙、屋根などの小規模の改修で、料金も安く、財産の価値増加にはつながらないケースも多くあります。財産を受け取る者が相続税の申告をする法的な義務を負いますが、自身で判断がつかないという時も多いでしょう。万が一、税務署による税務調査で指摘された場合、加算税を課される可能性もありますので注意が必要です。

 

判断に迷う場合は税理士に相談を

 基礎控除を超える財産を保有する人が亡くなった場合、相続手続きが必要となります。

 

 相続には居住用の住宅として利用していた土地を承継する際に、最大330㎡まで利用できる小規模宅地の特例など、部分的に評価額を減額でき、節税できるものも数多くあります。国税庁のホームページに特例の対象となる事例や減額できる部分について、記載がありますので、自分で申告をすることも可能です。しかし、しっかりと課税制度を理解して状況に応じて手続きを行わないと、減額前の評価額で課税されることになり、不利となりますし、経験がない人が相続税の計算や書類の作成を行うことは簡単ではありません。相続発生後は金融機関の名義変更や所有する不動産の登記など様々な手続きを同時に行う必要があります。税制に関する知識がなく、申告手続きに不安がある場合は税金の専門家である税理士に相談し、遺された家族の負担をなるべく減らすことをおすすめします。

 

 知り合いから税理士の紹介を受けることが難しい場合は、ホームページなどで相続税や関連のある贈与税の申告に実績が豊富な税理士事務所・税理士法人を探すようにしましょう。申告手続きにかかる費用は財産の内容によって決まることが多いので、不動産や預貯金や株式などの金融資産を一覧にして、持っていくと見積もりをすることができます。税理士に依頼することで特例や生命保険の非課税枠(500万円×法定相続人)の活用などの節税の方法についてアドバイスを受けることもできますので、かかる費用分以上に節税できるケースもあります。

 

 初回の相談は無料で応じてくれるケースが多く、見積もりを見てから対応を依頼するか検討することもできますので、電話やメールなどで気軽に相談し、費用を確認してみると良いでしょう。

 

 

 建物の名義人以外が費用を負担してリフォームするような場合には、贈与とみなされる可能性がありますので、注意しましょう。

 

 

納税通信 』 は、オーナー社長向け財務・税務専門新聞です。
発刊から約70年、経営者のみならず、会社経営のパートナーである税理士等専門家からも貴重な情報紙として多くの支持を得ています。

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