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【相続人かつ代襲相続人 基礎控除額もダブル?】納税通信3723号 vol.2

May 26, 2022

相続税

Q2 相続人かつ代襲相続人 基礎控除額もダブル?

 

 先日、祖父が亡くなりました。父が5年前に他界しているため、代襲相続人として私に相続権がありますが、祖父母の養子にもなっているため、子としても相続権があります。この場合の基礎控除額の考え方を教えてください。

 

A2 相続権は二重で得られますが、基礎控除額は「1人分」として算定されます。

 

 被相続人である祖父が亡くなったときに養子縁組で親子関係となった孫養子が代襲相続人になるなど、1つの相続の相続人の中に相続人として身分を二重に有している人のことを「二重相続資格者」といいます。

 例えば、亡くなった祖父に孫養子の他に実子2人(うち孫養子の親および配偶者は他界している)がいる場合、孫養子は、子としての相続分(3分の1)と代襲相続人としての相続分(3分の1)の両方を相続することができます。

 しかし、相続税の基礎控除(3,000万円+法定相続人×600万円)の算定の基礎となる法定相続人の人数の考え方では、二重相続資格者は1人分として算定されます。法定相続分の考え方とは異なりますので、注意しましょう。なお、生命保険の控除計算の際の法定相続人の数も同様で、二重相続資格者は1人分として計算します。

 

 誤って、基礎控除上も2人として計算した場合、税務調査で指摘される可能性があります。相続税の計算は対象となる財産の評価や税率も複雑で期限も短いため、早めに対応する必要があります。

 

孫養子がいる場合の注意点

 今回の記事で解説したケースのように孫養子がいる時は孫が子どもと同じ権利を有します。他の相続人にである叔父・叔母と法律上は兄弟姉妹となるため、他の相続人から見ると甥・姪が自分と同じ権利を有することになるため、遺産分割の際の財産の配分方法を巡ってトラブルになるケースも多いです。相続が発生すると被相続人の死亡から10ヶ月以内に申告と納税を完了する必要がありますが、配分で揉めると手続きが進まないため、期限に間に合わない可能性があります。相続が発生する前にどのように遺産を配分するか、民法の規定に沿って遺言を書いておくなど対策を行っておく方がよいでしょう。家族の中で多額の贈与をしている場合は相続財産は受け取らず、相続放棄をするケースもあります。亡くなった後で話し合いをするとトラブルのもとになりますので、事前に決めておきましょう。

 

 遺言書を作成する際は課税対象となる財産の一覧と評価額をまとめておき、各人の取得する財産の配分と相続税のシミュレーションも行っておくことをおすすめします。特に孫が相続人となる場合は、税金を負担する経済力がない事例も多いので不動産などを取得しても運営できない可能性があります。先に税金面での負担も考慮して配分を検討するようにしましょう。遺言書は民法の規定の沿って作成しないと無効になってしまうため、遺言書の書き方が分からない場合は司法書士や弁護士など法律の専門家に具体的な書き方のアドバイスを受けると安心です。

 

 また、事前にシミュレーションをすることで、特例制度や非課税枠、生前贈与などを活用し、課税対象となる相続財産を圧縮し、税額を抑えることも可能です。自分で生前の対策を考えることが難しい場合は税金の専門家である税理士事務所・税理士法人にサポートを依頼するとよいでしょう。相続を専門としている税理士であれば、相続税の計算だけでなく、申告書類の作成についてもアドバイスを受けることができます。まずは気軽に相談してみるとよいでしょう。

 

 

 「孫養子」は2割加算の対象ですが、代襲相続人としての立場と養子としての立場をもつ二重相続資格者である「孫養子」は、2割加算の対象とはなりません。

 

 

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発刊から約70年、経営者のみならず、会社経営のパートナーである税理士等専門家からも貴重な情報紙として多くの支持を得ています。

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