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【亡くなった父の不動産 準確定申告が必要?】納税通信3718号 vol.2

April 14, 2022

相続税

Q2 亡くなった父の不動産 準確定申告が必要?

 

 今年1月に亡くなった父は年金の他に不動産収入があったため、毎年確定申告をしていました。1月分の不動産収入は20万円弱で、経費を除くと15万円程度です。このような場合にも準確定申告は必要でしょうか?

 

A2 公的年金等の収入が400万円以下で、それ以外の所得が20万円以下なら、確定申告も準確定申告も不要です。

 

 相続人は、1月1日から被相続人が死亡した日までの所得と税額を計算して、相続開始を知った日から4カ月以内に申告および納税しなければなりません。本来であれば、1月1日から12月31日までにあった所得を翌年の2月16日から3月15日までの間に確定申告を行う必要がありますが、所得のある人が死亡したことにより相続開始後4カ月以内に相続人の代表者が申告するという制度となっています。

 

 ただし、亡くなった親が年金受給者で公的年金などの収入が年間400万円以下で、かつ公的年金等に係る雑所得以外の所得が20万円以下であれば、そもそも税務署に確定申告書を提出する必要がなく、同様に準確定申告も必要ありませんので今回のケースは確定申告は必要ありません。一方で生前に支払った医療費に対して医療費控除を利用することで、払い過ぎた医療費などが還付される可能性はあります。

 

 準確定申告の対象となるのは1月1日から被相続人が亡くなった日までの所得です。配偶者控除や扶養控除等の適用の有無に関する判定(親族関係やその親族等の1年間の合計所得金額の見積り等)は、死亡の日の現況により行います。会社員などで会社から給料をもらい、給与所得を得ている人は通常、源泉徴収されており、年末調整で寄附金控除や保険料控除などの所得控除も調整され、支払い過ぎた税金は還付されますので、確定申告は必要ありません。相続対策などで評価額を下げるために保有している土地にアパートを建てている場合、確定申告が必要となるケースがありますので、注意が必要です。

 

不動産所得がある人の相続が発生した時の注意点

不動産所得や事業所得があり、普段から課税されている人の相続が発生した時は確定申告以外にどのような点に注意をすればよいのでしょうか。相続財産が現金のみの人とは異なる対策を行う必要がありますので、不動産などの収入がある人の相続が発生した時の注意点を3つご紹介します。

 

相続税がかかるケースが多い

当記事のケースのように個人で不動産事業などの収入がある人は比較的財産が多い人が多いので、基礎控除を超えることが多く、相続税がかかるケースが多いです。相続財産を引き継ぐ者は相続開始の翌日から原則10ヶ月以内に、被相続人の住所地の管轄の税務署に申告書を提出する義務があります。相続発生後は戸籍を集めて相続人を確定するなど、他の作業もありますので、さまざまな理由で忙しくなります。

 

相続税の申告が必要な場合は期間が短く、忙しい中ではありますが期限である10ヶ月以上経過し、遅れてしまうとと延滞税や無申告加算税を課される可能性がありますので要注意です。手続きが進まない場合は戸籍謄本は委任状で司法書士に取得してもらうなど、別の人に依頼することも選択肢の一つです。

 

相続税がかかりそうな場合は預貯金の口座の残高や株式、土地・建物、金などの現物資産、生命保険などあらゆる財産をまとめて一覧の表にし、評価額を調査する必要があります。相場により変動する資産がある場合は、相続が発生した時の評価額で申告することにはなりますが、できるのであれば、事前にシミュレーションを行っておき、相続が発生し、財産を受ける時に納める納税額を把握しておき、財産を受け取る家族の負担を減らすようにしましょう。

 

最終的には相続発生時点の評価額となりますが、先にシミュレーションを行っておくことで納付の準備ができるだけでなく、節税について検討することも可能です。国税庁のホームページなどで制度を確認することはできますが、基本的な知識のない人が正確に理解することは簡単ではありません。

 

そのため、自分が代表として行う必要がある場合で、節税に関してわからないことやお悩みがある場合はホームページなどで確認し、相続税や相続税に関連の強い贈与税に強い税理士に相談して進めるとよいでしょう。誤った金額で税金を納めた場合、税務調査で指摘され、場合によってはペナルティとして加算税を請求されることもあります。

 

もちろん、税金のプロである税理士に依頼することで、申告書の記載や活用する各種特例や控除等に必要な添付書類の準備もあわせて依頼することができますので、安心して申告手続きをすることができます。

初回の相談は無料で応じてくれることも多いので、まずはお気軽に相談してみることをおすすめします。

 

配分で揉める可能性がある

 一方で価値の高い不動産や複数の不動産があり、相続人が複数いる場合は、それぞれの主張があり、法定相続分どおりの割合で相続することが難しいため、遺産分割の協議がうまくいかず、スムーズに配分できない例が多くあります。

価値の高い不動産を受け取ってから売却せずに維持するためには納税や維持・管理するための費用も支払う必要があるため現金も取得する必要があります。承継する資産の大半が不動産の場合、他の相続人が遺留分の放棄や相続放棄をせざるを得ない事例も過去に多くあります。不動産を持つことで配分しづらくなるというデメリットがあるということは認識しておきましょう。

 

相続発生後に相続財産の配分を検討することは時間がかかりますし、トラブルになる可能性があり不安な場合は、遺言書を作成しておくなど、財産の相続人などの状況に応じて的を得た対応をする必要があります。遺言の書き方や保管の手順がわからず本人1人で作成することが難しい場合は税理士などに相談するようにしましょう。

 

手続きが複雑

賃貸不動産は収入が得られるなどメリットもありますし、課税対象の評価額を下げる効果がありますので、資産家の方の節税対策の方法としてよく選択される手段です。

 

しかし、不動産は相続発生時に法務局で登記を行うなど、預貯金に比べると、法律上複雑な手続きが必要となります。経験がなく自分1人で手続きをすることが難しい場合は、業務として行っている司法書士や税理士などに委任することを検討してもよいでしょう。税理士に依頼することで、必要書類の記入などの手間を省くことができます。

 

 場合によっては銀行の手続きを含むあらゆる手続きに対応出来る事務所もあります。手数料はかかりますので、実際に依頼する場合は見積もりをもらってから依頼するようにしましょう。手続きの途中でも依頼することが可能です。実際に面談する際には相続人や財産に関する資料を持参して面談するとスムーズに相談することができるでしょう。

 

 

 準確定申告は、亡くなった人の相続人となる人全員が行う必要があるため、「確定申告付表」を用いて全相続人が連署します。連署を行わず、各相続人が個別で申告を行うこともできますが、その場合には他の相続人に申告内容を通知しなければなりません。

 

 

納税通信 』 は、オーナー社長向け財務・税務専門新聞です。
発刊から約70年、経営者のみならず、会社経営のパートナーである税理士等専門家からも貴重な情報紙として多くの支持を得ています。

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