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【相続人を代表して処分 売却益の税金は私の負担?】納税通信3696号 vol.2

November 05, 2021

相続税

Q2 相続人を代表して処分 売却益の税金は私の負担?

 

 先日亡くなった母の遺産は、住んでいた不動産とわずかな預貯金だけだったため、私が代表相続人として不動産を売却し、売却後の金額を分けようと思っています、不動産の売却益に対する税金は、私が負担することになるのでしょうか?

 

A2 遺産を売却して相続人で分配したお金は、その配分割合によって分割・譲渡したものとして各相続人が譲渡所得の申告をします。

 

 当記事のように遺産を相続した時に土地や建物、マンションなどの相続財産を売却して、その代金を相続人の間で分配する方法を換価分割と言います。生じた利益(譲渡所得)は、譲渡所得税の確定申告の書類の作成および納付が必要です。不動産を売却したことにより、収入が一時的に増えることになりますので、翌年の住民税もあがります。

 

 ここで、各相続人の譲渡所得は、売却金額から取得費(購入にかかった物件代金や取引にかかった仲介手数料)と譲渡費用を差し引いた合計額の所有割合となります。つまり換価代金の取得割合です。なお、申告期限が到来した時点で分割方法が決まっていなければ、法定相続分により申告します。

 

 最近は不動産の相場も上昇していますので、住宅を長期で保有しており、不動産の価格が大きく上昇している場合は、相当評価額が値上がりしており、売却代金のほとんどが譲渡所得となってしまうケースもあります。このようなケースでは、譲渡所得部分に税金がかかってくるため、実際の負担も大きくなります。一方で、売却して得られた金額が購入時の代金以下の場合は譲渡損となりますので、所得税に加算されることはなく、申告も必要ありません。

また、購入時の取得価格が分からない場合、売買代金がすべて譲渡所得になってしまいますので、売却の際は必ず購入時の金額がわかるものを準備してどれくらいの税金になりそうか確認しておくようにしましょう。

 

 令和5年12月31日までに被相続人が住んでいた不動産を売却し、相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったことなど一定の要件に当てはまるときは、要件に応じて譲渡所得の金額から最高3000万円まで控除する特例を適用することができます。これを被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例と言います。この特例を受けるためには相続発生から3年以内に売却する必要があります。特例を利用することで、節税することができますが買主を探し、売買契約を行いまでに時間がかかる事例も多いです。売却する場合、どのような金額で売り出すことになるのか、シミュレーションをしておきましょう。測量を行わなければならないこともありますので、特例を活用し、課税金額を抑えるためにも早めから不動産を取り扱っている会社に売却を依頼しておきましょう。

 

 税金の申告は税務署に相談を

 

 上記で解説した特例の適用を受け、節税するために税務署で手続きが必要です。相続税の申告をするための試算の評価や不動産の譲渡所得の計算方法は国税庁のホームページに記載されていますので、自分で調べて申告することもできますが、税率や特例等の制度が非常に複雑ですので、自分で行うことは簡単ではありません。

 

 期間内に自分で税額を計算することは大きな負担がかかります。被相続人が生前に対策をしていなかった場合、財産の内容がわからず、基礎控除を超えるかどうかわからないというケースも多いものです。

 

 そのため、自分で相続税の申告者や確定申告書を作成することが難しい場合は税理士にサポートを依頼することも可能です。相続税の申告を依頼する場合はまずは財産の一覧で分かる資料を作成する必要があります。

 

 相続税と譲渡所得の期限はそれぞれ異なります。原則、相続発生の翌日から10ヶ月以内に相続財産の一覧の表と申告書を作成し、提出する必要があります。不動産の譲渡所得は翌年3月15日までにそれぞれ申告と納税が必要となります。相続発生後は金融機関の名義変更等でなにかと忙しく、あっという間に時間が過ぎてしまうので期限には注意が必要です。

初回の相談はサービスで無料で応じてくれる税理士も多いです。知り合いから紹介を受けることが難しい場合は、ホームページなどで探してみると良いでしょう。税理士に依頼する場合は、普段から相続税や確定申告を業務として行っている税理士事務所・税理士法人に依頼することで、費用を支払うことにはなりますが、経験の豊富な税理士であれば、注意点も認識しているため、スムーズに続きを進めることができますし、税務調査に入られても安心して対応を進めることができます。。

 

 

 代表相続人が売却した後の換価分割は、その他の相続人に代表相続人が現金を贈与したと判断されないよう、遺産分割協議書に換価分割である旨を明記するようにしましょう。

 

 

納税通信 』 は、オーナー社長向け財務・税務専門新聞です。
発刊から約70年、経営者のみならず、会社経営のパートナーである税理士等専門家からも貴重な情報紙として多くの支持を得ています。

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