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【借金の保証人 相続で債務控除の対象?】納税通信3696号 vol.1

November 05, 2021

相続税

Q1 借金の保証人 相続で債務控除の対象?

 

 私は、兄が経営する会社の借入金の保証人となっています。現在は経営も順調で、借金も滞りなく返済をしているようですが、将来はどうなるか分かりません。万が一、私が死んで相続が発生した際には、この保証債務は債務控除の対象となるのでしょうか?

 

A1 保証債務は「確実な債務」とはいえないため、原則として債務控除の対象となりません。

 

 相続税を計算するときは、被相続人が残した借入金などの債務を遺産総額から差し引くことができます。葬式の費用も債務控除の対象とすることができます。控除可能な債務は、その債務の返済が「確実と認められるもの」です。保証債務とは、借金をした人が返済できないときにかわって責任を負う保証人の債務のことです。そのため、保証人としては必ず返済しなければならないということが確定しているものではないため、原則として債務控除の対象とはなりません。

 ただし、保証人が債務者本人に代わって返済したものの、本人が弁済不能となり、その額を主たる債務者が返してくれない状態の場合は、債務控除の対象となります。連帯債務の場合も負担金額が明らかとなっている場合や求償しても弁済が見込めない部分については債務控除の対象となります。

 

 上記のように、死亡した人に債務がある場合は財産を一覧にして、プラスの財産の評価額とマイナスの財産どちらが大きいか必ず確認するようにしましょう。亡くなった方の借金の方が多い場合は相続放棄をすれば、相続権も債務を引き継ぐ義務もなくなりますので、相続人が債務を履行する必要はありません。

 

 また、借金がある場合でもプラスの財産の方が金額が大きい場合は、できれば生前に遺言を作成し、配分を決めておくなど対策を打っておく方がよいでしょう。一般的にアパートローン等、債務が不動産に紐づいている時は不動産を受ける見込みの者が債務も負担することになります。

 

 相続開始後に遺産相続について話し合うと相続人同士で意見が合わない場合もあります。遺言があれば、分割の方針は決定した状態で手続きを進めることが可能です。税金の申告書類の提出と納付は相続開始から10ヶ月以内に行う必要があります。相続発生時点の相続財産が基礎控除を超える場合は各種特例により税額が0円の場合でも税務署への申告は必要ですので注意しましょう。

 

 相続税の申告が心配な時や仕事などで忙しく難しい状況の場合は費用がかかりますが、税の専門家である税理士に個別にサポートを依頼し、対応することをおすすめします。税理士に依頼することで、期限通りに申告できるだけでなく、過去の贈与分の申告漏れや、関連する特例の適用漏れも防ぐことができますので、後から税務署から誤りを指摘され加算税を請求されるということもなくなります。

初回の相談は無料で応じてくれるケースが多いので、電話などで料金を確認してから申告を依頼するか自分で行うか判断するとよいでしょう。

 

 

 被相続人の借金は契約書などでその存在を把握することが可能ですが、保証債務に関しては存在自体を把握できないまま相続放棄の期限を過ぎてしまうことがあるため注意が必要です。

 

 

納税通信 』 は、オーナー社長向け財務・税務専門新聞です。
発刊から約70年、経営者のみならず、会社経営のパートナーである税理士等専門家からも貴重な情報紙として多くの支持を得ています。

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