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【借地人死亡で相続放棄 地主側の対応は?】納税通信3694号 vol.3

October 21, 2021

相続税

Q3 借地人死亡で相続放棄 地主側の対応は?

 

 借地人が亡くなった旨の連絡を息子さんからいただきました。相続人の間では、全員が不動産を含めて被相続人が所有していたすべての財産を相続放棄する方向で話し合いが行われているとのことです。底地を持っている地主の私はどのように対応したらいいのでしょうか?

 

A3 相続財産管理人の選任を家裁に申し立てて、相続財産の管理、換価、清算をしてもらいましょう。

 

 相続人全員が相続放棄した場合や法定相続人が明らかでない場合、亡くなった方の債権者は相続財産管理人の選任を家裁裁判所に書類を提出し、申し立てを行って、相続財産の管理、換価、清算をしてもらうことができます。この申し立ては債権者のほか、特定遺贈を受けた者、特別縁故者などの利害関係人または検察官も可能です。家庭裁判所に相続放棄が受理されれば、初めから相続人ではなかったことになりますので、プラスの遺産だけでなく、マイナスの財産も引き継ぐことはありませんので、それぞれの相続人が借金を返済する義務もなくなります。

 相続放棄は原則、被相続人が亡くなったことを知った時から3カ月以内が期限となります。相続発生後は忙しく、あっという間に時間が過ぎてしまいますので、制度を活用するためには相続発生後すぐに判断し、家庭裁判所に申し立てる必要があります。

 

 相続財産に借地権があれば、相続財産管理人は、借地権を売却するなどして換価します。借地権の売却には地主の承諾が必要となりますが、地主が借地権の解消を望んでいる状況であれば、自ら借地権を買い取って、返還してもらうことで完全な所有権とすることも可能です。一般的に借地権付きの不動産は、借地権が問題となり買主を探すことが難しいため相場より価格が大幅に下がる傾向がありますが、遺産相続の際に底地を買い戻すことができれば、処分する場合でも物件の評価額が高くなりますので、地主としてのメリットも大きいです。

 

 この場合には、資産承継の手続を進める相続財産管理人との間で売買価格等の条件を協議することになります。売買の条件が決まった場合、契約書を作成した上で登記などの手続きを進めていきましょう。

 

 条件について交渉しても前に進めることが難しい場合、費用がかかるというデメリットはありますが、時間がかかりそうな場合や、後からトラブルが生じることを避けるために弁護士など法律の専門家に交渉を依頼した方が良いでしょう。知り合いから紹介を受けることが難しい場合はホームページなどで検索することをおすすめします。まずは電話やメールなどで相談が可能か確認してみるとよいでしょう。

 

借地権を相続する場合の流れ

 次に当記事のように、借地権を放棄せずに、相続する場合の流れについても解説しておきます。

 

 借地権は土地を借りて地代は支払いますが、建物を建てて自分で所有しているので、建物と借地権を他人に譲渡することもできますし、相続が発生しても権利として相続人が相続し、建物をこれまでと同様に相続人が使用することが可能であると民法で定められています。

 通常のケースでは借地権を相続する場合は、相続開始後に預貯金、不動産、金など所有していた財産の一覧を作成し、誰が借地権を相続するか明確化したうえで、遺産分割協議書を作成する必要があります。ただし、遺言書で誰が借地権を相続するか決まっているのであれば、遺産分割協議書の作成は不要です。注意点としては借地権を相続人が相続する場合は、地主の許可は必要ありませんが、相続人以外の第三者に遺言などの方法を用いて遺贈する事例では地主の許可が必要となる点です。現時点の法定相続人ですので、例えば、兄弟姉妹が存命の場合で後順位となる甥・姪に遺す場合は相続人以外の第三者となります。

 

 そのため、相続人以外の人に遺贈することを検討する場合は、相続発生後の負担を軽減するために、生前に地主に通知し、交渉しておいて、遺贈することを認めてもらうなど対策を考えた方がよいでしょう。断られる可能性がある場合は遺言の作成を行う前に、地主に話をしておく必要があります。

 

 

 借地人が死亡する前から相当期間、地代の支払を請求したにも関わらず滞納し、注意しても放置されていたケースでは、滞納を理由に借地契約を解除して建物の解体・収去し、更地にしたうえで土地明渡しを求められることもあります。

 

 

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発刊から約70年、経営者のみならず、会社経営のパートナーである税理士等専門家からも貴重な情報紙として多くの支持を得ています。

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