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【遺言で姉が財産を取得 親による相続と異なるの?】納税通信3690号 vol.1

September 24, 2021

相続税

Q1 遺言で姉が財産を取得 親による相続と異なるの?

 

 先日亡くなった弟の遺言には、全ての財産を姉である私に相続させるとありました。弟は未婚で配偶者や子どもはいませんが、私たちの母はまだ存命なので、本来の法定相続人は母となりますが、私が相続する場合と母が相続する場合で相続税の計算は異なるのでしょうか。

 

A1 相続した人が、被相続人の配偶者、父母、子ども以外は相続税が2割加算となります。

 

 遺言がなく、法定相続人が遺産分割協議をして遺産を引き継ぐことを「相続」といいます。これに対し、遺言により財産の一部またはすべてを相続人以外の者や団体に譲り渡すことを「遺贈」といいます。

 「遺贈」は、相続人はもちろん、相続人以外にも財産を譲ることができるため、お世話になった特定の人やNPO団体、学校等の教育機関なども具体的に団体を指定して、自身の財産を寄附金として譲り渡すことができます。

 被相続人の財産が基礎控除を超える場合、遺贈によって受け取った財産にも相続税がかかる可能性があります。この計算方法は、通常の相続で支払う相続税の計算方法と基本的な違いはありません。ただし、財産を取得した人が被相続人の配偶者、父母、子ども以外の者であれば、相続税額にその20%相当額が加算されます。甥や姪に遺贈する場合や孫が養子縁組をして法律上の子となっており、相続人となっている場合も2割加算の対象となります。ただし、子供亡くなったことで代襲相続で孫が相続人に該当する場合は2割加算の対象とはなりません。

 

遺言で相続人以外の人に相続させる際の注意点

 

遺言で相続人以外の人に相続させる場合どのような注意点があるのでしょうか。次に2割加算の対象となり、課税価格が増えてしまうこと以外の注意点についても紹介します。

 

①配分で揉める可能性がある

法定相続人以外の人に財産を遺す場合、法定相続人が相続する分が法定相続分よりも減ってしまうということです。当記事の事例のように子や兄弟姉妹などの血族に遺さず、遺言で他人に財産を遺すこととなれば、理由があっても納得いかないと考える人もいるでしょう。

相続が発生する前に遺言を書いておくなど対策をしておいても相続が発生した時に、相続権のある相続人と財産の受贈者でトラブルになる可能性があります。特に兄弟姉妹など、相続人の数が多い場合は話し合いがまとまりにくいので注意が必要です。実際に相続が発生した場合にどのような配分になるかシミュレーションを行っておきましょう。

 

また、配偶者、子、親などの直系尊属には遺留分という最低限財産を相続する制度が適用されますので、必ずしも遺言通りに配分できない可能性があります。生前贈与や遺贈等によって受けた財産に対して遺留分侵害額請求をされると、受贈者が対応する必要がありますので、大きな負担となるでしょう。

 

②交流がない人と共同で相続税の申告や手続きなどを行う必要がある

相続税の申告をする場合、財産の総額を法定相続割合通りに配分したものと仮定し、相続税の総額を実際に各人が取得した配分で按分します。その上で、小規模宅地の特例など利用できる各種特例、税額控除等を考慮して算出します。遺贈する人が他の相続人と交流がない場合これらの作業を相続人と共同で行う必要があります。

 

相続税の計算をするためには、土地や建物、金融資産、非課税枠はありますが、みなし相続財産として生命保険の保険金や死亡退職金も課税対象となりますので、財産の評価額を一覧の表にまとめて書き出す必要があります。基礎控除(計算式:法定相続人×600万円)を超える場合は相続税の申告が必要となります。

 

相続人が全員放棄をしたとしても、相続人でないと調査できない項目もありますので、協力しながら手続きを進める必要があります。連絡先などを知らず関係がない場合、手続きを進めることは簡単ではありませんので、注意が必要です。

課税制度は複雑で財産の評価や税率の計算には時間がかかりますが、相続税は期限があり、相続開始から10ヶ月以内に申告と納付を行う必要がありますので、早めに手続きに着手する必要があります。

 

このようなケースでは、生前に業務として手続きを行ってくれる、税理士に依頼しておくことを検討してもよいでしょう。

税理士に依頼する際は相続税や贈与税の実績と知識が豊富な税理士事務所・税理士法人に依頼することをおすすめします。税理士に依頼することで、ポイントをおさえて確実に手続きができますし、税務署による税務調査の対応もすることができるため、安心です。

 

 

 

 

 不動産の相続には不動産取得税はかかりませんが、遺贈財産を指定する「特定遺贈」は不動産取得税がかかります。このように、遺贈は税負担が大きくなるケースがあるため、その点を考慮して遺言書を作成するようにしましょう。

 

 

納税通信 』 は、オーナー社長向け財務・税務専門新聞です。
発刊から約70年、経営者のみならず、会社経営のパートナーである税理士等専門家からも貴重な情報紙として多くの支持を得ています。

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