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【相続財産の骨董品 価値不明の評価方法】納税通信3689号 vol.3

September 16, 2021

相続税

Q3 相続財産の骨董品 価値不明の評価方法

 

 骨董品を集めるのが趣味だった父が亡くなりました。私を含め遺族は骨董に興味はなく、財産として価値のあるものなのかも分かりません。価値の不明な品物は相続税の申告にあたりどう評価すればよいのでしょうか。

 

A3 5万円以下のものは一括評価、それ以外は専門家への鑑定依頼などが必要です。

 

 一般動産の価額は、売買実例価額(実際に売った場合にいくらで売れるのか)や精通者意見価格(専門家の鑑定)等を参考にして評価しますが、それらが把握できないのであれば、調査できる範囲で同種および同規格の新品の価額から減価分を差し引いた金額とします。この一般動産は、原則として、1個または1組ごとに評価しますが、1個または1組の時価が5万円以下のものについては、1点ごとに評価額を決めるのではなく、「家財一式」のように、一世帯ごとに一括して評価することができます。

 なお、市場価値が高く思わぬ高額な骨董品と評価され、高額な相続税を支払うことができないときは、相続放棄や国・地方公共団体に寄付、売却するといった方法もあります。相続放棄や寄付には相続税はかかりませんが、売却は譲渡所得となりますので、相続税の他に所得税の負担と確定申告の手間が生じることが注意点です。

 

 価値の高い書画骨董品や絵画など文化財として登録されているような歴史的に価値があるものを数多く所有しており、興味がある人がいない場合、遺産分割の時に配分で問題となるなどの理由で、結果として負担が大きく家族が困るケースも多くあります。価値の高いものであれば、骨董品や美術品があるために、税金を納めるための多額の資金を用意しておく必要がでる事例もあります。

 そのため、状況にあわせて生前に遺言書を書いておき、それぞれの興味のある人や保存することができる美術館などに遺贈するなど、誰が受けるか決めておくなど事前に対策をしておくことが大切です。当記事のように相続人の中に興味のある人がいない場合は、自身で査定や買取を事業としておこなっている業者を紹介してもらい、先に換金するか寄付をすることを検討してもよいでしょう。また、110万円以内のものであれば、非課税の範囲内となり贈与税がかかることもありませんので、亡くなってから遺産相続で渡すのではなく、その前に生前贈与をすることも可能です。

 

判断が難しい場合は税務のプロである税理士に相談を

 被相続人が保有していた骨董品などの市場価格や価値が分からず、自分で判断することが難しい場合は税理士に相談するようにしましょう。相続税は相続発生の翌日から10ヶ月以内に申告と納付を完了させる必要があります。相続が発生し、忙しい中で10ヶ月という期限はあっという間に過ぎてしまいます。

 

 骨董品を購入した金額や類似品が販売されている金額が分からない場合、鑑定士に依頼しても価格が判明するまで時間がかかる場合もあります。相続税の計算をする際は全財産の評価額を把握し、次に法定相続割合通りに分けたと仮定して総額を計算する流れで行います。そのため、預貯金や株式、土地、建物など不動産、金等の現物資産の評価額の計算や課税の対象となる財産をまとめた一覧の作成、特例の利用可否の判断など準備ができることから早めに行っておくことが重要です。相続税の制度は複雑で承継できる資産や人によって利用できる特例も多くあります。申告書の作成や特例や控除の適用を受けるための添付書類の作成など、様々な手続きがあります。

 相続税の税額を求めることは簡単ではありませんし、誤った内容で申告をすると税務調査で指摘される可能性もありますので、費用はかかりますが、相続関連に強い税理士事務所・税理士法人のサポートを受けて手続を行うと安心です。税理士に依頼することでポイントをおさえて特例なども漏れなく適切に利用できますので、節税につながるというメリットがありますし、初回の相談はサービスで応じてくれるケースが多いのでまずは電話やメールで気軽に問い合わせてみるとよいでしょう。

 

 

 骨董品や美術品は安易にガラクタと判断せず、落款や署名がないか、美術年鑑に記載されていないか、箱や資料などの付属物はないかなどを確認し、専門家に鑑定を依頼するなどの対応が必要です。

 

 

納税通信 』 は、オーナー社長向け財務・税務専門新聞です。
発刊から約70年、経営者のみならず、会社経営のパートナーである税理士等専門家からも貴重な情報紙として多くの支持を得ています。

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