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【あとから出てきた相続財産 協議も申告もやり直し?】納税通信3678号 vol.1

July 02, 2021

相続税

Q1 あとから出てきた相続財産 協議も申告もやり直し?

 

 昨年亡くなった母の相続税の申告を先月終わらせたところなのですが、申告した財産の他に資産があったことが分かりました。あとから財産が見つかった時は当初の分割協議も申告もやり直しが必要なのでしょうか。

 

A1 あとから見つかった財産についてのみ、新たに分割協議して申告をやり直します。

 新たに財産が見つかる前に行った、当初の遺産分割協議は有効なため、原則として新たに見つかった財産についてのみ新たに分割協議し、再度、申告のやり直し(修正申告)を行うことになります。ただし、相続人全員の同意があれば、遺産分割協議を一度取り消し、その後、最初からやり直しをすることも可能です。その際、各相続人間における財産の贈与や譲渡として贈与税・所得税が課税されますので注意してください。

 なお、税金については、知らなかった財産について、自主的に修正の申告書を提出すれば課税は新たに見つかった財産分の相続税と延滞税だけで済みますが、税務署の調査を受けた後で修正申告をしたり、税務署から申告税額の更正を受けたりすると、新たに納める税金のほかに過少申告加算税がかかります。故意に財産を隠していた場合など、手続きを進める中で悪質な理由で過少申告となった場合は重加算税が課される可能性もあります。

 

 元々財産が基礎控除以下で、後から気づいた財産を追加しても基礎控除や生命保険の非課税枠を活用することで、基礎控除以内に収まる場合は、元々財産が判明していた場合と同様に相続税の計算や申告の手続きは必要ありません。定められた方法で正確に評価を行うことが重要となりますが、判断に迷う場合は税理士に相談するようにしましょう。

 

漏れなく手続きをするための対策

 相続税の申告は、親等亡くなった人の財産を把握し、遺産分割協議をおこなったうえで相続税の計算をするという流れで行いますので、相続で取得する財産に漏れがあると、後からさまざまな問題が発生します。 相続の手続きをする際に、遺言書や預貯金や土地・建物などの不動産など全部の事項を一覧で記載した財産目録が無かった場合、当記事で解説したケースのように遺産の全体が把握できないことはよくあります。相続発生後の忙しい中で、相続税の申告期限は10ヶ月と短く、実際に期限内に財産を把握しきれない事例も多くあります。

 

 成立した遺産分割協議が無効になるわけではありませんが、後から財産が出てくるとせっかく合意した遺産分割協議についても反対する人が出てくる可能性があります。相続放棄をしていた人も、発見された財産によっては、財産が欲しいと主張する者が現れる可能性もあり、再度遺産分割協議をやり直さないといけない可能性があります。それぞれの主張があり、取得する割合で納得できずトラブルになってしまい、どうしても分割内容が全員で決められない場合は、弁護士を交えて、家庭裁判所で調停が必要になる可能性もあります。

 

 後から財産を発見すると状況により様々な問題が発生するので、さまざまな事項を確認する必要が生じます。相続税の申告にも追加で対応が必要となり、手間がかかります。遺言や財産目録を作ることで、漏れなく確実に名義変更や不動産の登記などの承継手続きができます。一度トラブルになると解決することは難しいため、しっかりと遺言書や財産目録を作成しておくメリットは大きいです。

 

 しかし、遺産相続の経験や知識がない方が自分で作成する場合、注意点がわからず難しいかもしれません。遺言書の書き方や作成方法、法定相続割合やどのような配分にすると遺留分を侵害するかなどが分からない場合は、費用はかかりますが、税理士等の第三者のアドバイスを受けて進めると良いでしょう。知り合いに紹介してもらうことが難しい場合は、ホームページで実績が豊富で相続税に強い税理士にサポートを依頼すれば安心して任せることができます。初回の相談は無料で対応してくれることが多いので、正式に依頼する前にまずは電話やメールなどで状況を説明し、料金やどれくらいの時間がかかるか気軽に確認していただくとよいでしょう。

 

 

 亡くなった後に財産を把握することは、大変な労力がかかります。残される家族のため、生前から「財産目録」等を作成しておくようにしましょう。

 

 

納税通信 』 は、オーナー社長向け財務・税務専門新聞です。
発刊から約70年、経営者のみならず、会社経営のパートナーである税理士等専門家からも貴重な情報紙として多くの支持を得ています。

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