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【自宅と道路の間に水路 宅地の相続税評価額の算出法】納税通信3673号 vol.1

May 31, 2021

相続税

Q1 自宅と道路の間に水路 宅地の相続税評価額の算出法

 

 自宅と道路の間の水路に幅3メートルの橋が架かっています。相続税額を計算する際の宅地の評価方法を教えてください。

 

A1 水路を含めて宅地の面積を基に評価額を算出した後、全体に占める水路部分の割合に応じて減額計算(補正)します。

 

 当記事のように水が流れている水路を行政が管理しており、占有許可を受けた橋が水路に設置されている土地は、「不整形地」として評価します。水路を含む宅地全体の評価額を算出した後に、水路部分の割合(陰地割合)に応じて減額計算することになります。

 自宅と道路の間の水路がある土地のうち不整形地として計算できるのは、建築基準法上の「接道義務」を満たした土地です。道路に面している橋の幅が一定以上で、国や地方自治体から通行路橋設置のための占有許可を受けていることなどが接道義務を満たす条件となっています。

 なお通行用の橋が架かっていない土地など接道義務を満たしていない土地は、通路がないため建築基準法42条で定められた2mの接道義務を満たしていない「無道路地」として評価します。この規定により道に接していない土地は住宅などの建物を建築することができません。このような土地は購入しても目的を果たせないことが多く、ほとんど売買されないため、売却することは難しいケースが多いでしょう。

 

 相続税の計算は相続財産の全体を把握して、法定相続割合で取得したと仮定して、税率を把握し、相続税の総額を計算するという流れで行います。特例の適用可否などを確認する必要がありますが、まずは財産の評価を行うことが重要です。

 

 当記事で解説したケースの他に、権利関係や奥行が長大な場合や接する道路との間口が狭小であるなどの関係で、価値が低い土地の場合、通常の国税庁のサイトに記載されている路線価×地積で求める価格とは異なり、別の計算が必要となる場合がありますので注意が必要です。

 

 他にも、借地権があり、敷地のうえに他の人が所有する建物が建っている場合なども減額して評価します。このように不動産に関連して特殊な状況にある事例では相続税の計算が複雑になるということを覚えておくとよいでしょう。他にも自宅の土地の場合、小規模宅地の特例の要件に該当する場合は、330㎡まで特例を利用して80%控除できる場合もありますのでしっかりと内容を確認しておき、相続税の計算をする前に判断する必要があります。相続税の計算をする際は、財産を一覧にする必要があります。自治体で定められた条例によって、建てる建物が制限されている場合もありますので、評価が難しい土地や問題がありそうな物件が無いか役所に確認し調査しておきましょう。

 

 

 水路や河川に面する土地は減額要素が多く、知識がない人は不動産鑑定士などの専門家に依頼して評価額を算出した方が相続税を抑えられることが少なくありません。費用はかかりますが、実績の豊富な専門家に探すことで負担を減らすことができますので、サポートを依頼することをおすすめします。

 

 

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