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相続お役立ち情報

【売却予定の自宅 生前売却か相続後か?】納税通信3798号

November 20, 2023

相続税

Q 売却予定の自宅 生前売却か相続後か?

 

 私が死亡した後には息子たちは今の自宅から住み替える意思はなく、相続してから時期をみて家を売却するつもりのようです。住宅として利用している土地・建物は税金面からは、事前の対策として生前のうちに売却して売却代金を相続させたほうがよいか、亡くなった後に受け取った子が相続した時点で売却したほうが税金が安く済むのか、いかがでしょうか?

 

A 不動産は現金よりも節税効果があるため、一般的には相続後の売却が税金面では有利です。

 

 基礎控除を超える財産がある場合、相続税の申告が必要です。相続税の計算をする際、まず相続財産の評価額を算出します。そのときに現金や預貯金、株式などは時価と同等の評価額になりますが、不動産の場合は路線価や固定資産税評価額によって算出する金額となるため、親が住んでいる実家の場所にもよりますが、市場相場の7~8割程度の評価額となります。さらに、アパートなどの賃貸物件であれば、使用が制限されている分、「貸家建付地」としてさらに評価額を下げることができます。また、該当する場合は小規模宅地の特例を利用することで、さらに土地の評価を減額することができます。相続人が同居するか、持ち家を保有していないなどの条件を満たす必要はありますが、特定居住用宅地の特例の場合、最大330㎡まで80%減額することができるメリットの大きい制度です。区分所有のマンションでも利用できますので利用できるかどうか確認しておきましょう。

 

 また、相続開始から3年10カ月以内に相続財産を売却すれば、売却した資産に対応する相続税を「取得費」に加算でき譲渡所得の金額を軽減し、結果として譲渡所得税についても節税することができます。また、不動産を譲渡して、購入した時や仲介手数料や印紙税など、売却にかかった金額を差し引いて利益が出た場合は1月1日から12月31日までの他に課税される所得と合算して確定申告を行う必要があります。しかし、期間内に売却し、昭和56年5月31日以前に建築されていることや一定の耐震基準を満たすなど要件を満たす場合は相続した空き家を売った時に得た譲渡所得に対し、3,000万円控除することができますので大きく負担を減らすことができます。この特例を適用した場合、譲渡所得の額が3,000万円以下であれば所得税はかかりません。ただし、所得税が0円になる例でも特別控除を受けるため、税務署へ提出する書類を作成する必要があるため、注意しましょう。

 

 相続して売却する際の注意点

 当記事で解説した通り、多くのケースで相続が発生してから売却する方が有利ですが、相続してから売却する際の注意点についても解説します。まず気をつける必要があるのは法定相続人が複数おり、遺産の分割の際に共有で相続した場合、権利を持つ全員で売却することで合意できるとは限らないという点です。

 敷地を活用してアパートを建築するなど賃貸不動産経営などの事業がしたいという考えの人がいる場合や親族間で遺産分割の協議で争いとなり、関係が悪化するなどが理由で所有者同士で処分の方法について話し合いができないケースも多くあります。特に相続人の数が多いとそれぞれの考えがあり相続人同士でトラブルとなり意見が合わないと長期にわたって処分ができなくなるというのは大きなデメリットとなる可能性があります。

 

 法定相続分通り均等に相続した場合、誰か一人でも不動産を売ることに反対する人がいると不動産会社が査定を行い、購入希望者を探してきたとしても売買契約ができません。空き家のまま長く放置することになり、問題となる可能性があります。実際に取り壊しを行うにも費用がかかりますし、空き家となってそのまま放置した結果、家屋が損壊し、他人に損害を与えた場合、その不動産を所有する者の責任となってしまいます。また、相続人全員でスムーズに売却することに合意できたとしても被相続人が保有していた不動産の所在地が人気のないエリアにある場合、すぐに譲渡できるとは限りません。

 不動産を相続すると名義変更のための法務局で登記が義務となっており、費用がかかります。今後、売却できなければ、毎年固定資産税もかかりますので、手間だけでなく費用もかかるという点は注意しておくべきでしょう。上記の通り、一般的には不動産で持つ方が一定の相続税の軽減があるため相続してから売却した方が負担を軽減しやすくなりますが、状況によっては保有し続けることで費用が高くなりそれ以上の負担となり先に売却しておいた方がいい場合もあります。財産の内容や相続人との関係によって使える特例などのポイントがそれぞれ異なりますので、自分自身の場合どうなるか、主な特例の提供可否も含めて慎重に検討する必要があります。

 

 相続が発生する前に遺言が書かれていない場合、まずは故人の名義の財産をまとめた一覧を作成し、だれが何を相続するか配分を決めて納付する税金のシミュレーションを行うことが大切です。遺言書があれば、基本的に遺言書を基に配分することになります。

 相続税の申告期限は相続発生の翌日から10ヶ月以内と短く、課税対象となる各種財産の評価や税率などの制度も複雑です。確定申告のように毎年行うものとは異なるもので、準備するための時間もなく正確に税額を算出することは簡単ではありません。

 

 そのため、相続が発生したら早めに準備に取りかかるほうがよいでしょう。国税庁のホームページに計算方法や添付する書類の記載方法は記載されていますが、知識がなく相続税の申告を自分で行うことに不安がある場合は税務のプロである税理士などの専門家に依頼することも可能です。相続関連に強い専門家に自分の状況を説明し、手続きを依頼することで、安心して手続きを進めることが可能です。初回の相談はサービスで無料で対応してくれるケースが多いのでまずは気軽に相談してみるとことをおすすめします。知り合いから紹介してもらうことが難しい場合は税理士のサイトに記載されている内容を参考にして自分で探すようにしましょう。

 

 

 税金面からは、不動産で保有しているほうが節税効果はありますが、不動産価格は、その時の相場により大きく変動するため、「いくらで売れるか」ということも重要です。売却のタイミングは総合的に判断して決めましょう。

 

 

納税通信 』 は、オーナー社長向け財務・税務専門新聞です。
発刊から約70年、経営者のみならず、会社経営のパートナーである税理士等専門家からも貴重な情報紙として多くの支持を得ています。

 

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