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外貨預金にも相続税!?外貨預金を相続したときの注意点

August 10, 2023

相続税

 今は、ネットバンキングの普及により、高齢の方も、ネットで株式投資や、外貨預金、外貨建て保険を始めている方も多くいらっしゃいます。
そこで、こんな不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「親が生前に外貨預金を保有していた場合、相続した預金は相続財産に含めるのか?」
「海外の金融機関で外貨預金口座を持っていた場合、相続税の対象になるのか?」
また、そもそも外貨預金を持ち続けるのってリスクがありそうという心配も出てきます。

まず、外貨預金の為替リスクなど説明していきましょう。

 

1.そもそも外貨預金とは

 外貨預金とは、日本円以外の米ドルやユーロなど、外国の通貨で金融機関に預けることをいいます。外貨預金は、円預金と比べて高い利息が受け取れる可能性がありますが、為替変動のリスクや両替手数料なども発生します。外貨預金を行う場合は、通貨の種類や預入期間、利用する銀行などによって金利が異なることを理解しておく必要があります。

 

・気を付けたい、外貨預金の為替変動リスク
為替変動のリスクとは、外貨預金を日本円に換える際に、為替相場が不利に変動することで損失が生じる可能性のことです。例えば、100円で1ドルの外貨預金をした場合、その後に円高になって90円で1ドルになったとします。この時点で、外貨預金を日本円に戻すと、100円で購入した1ドルが90円にしかならないため、10円分の損失が発生します。逆に、円安になって110円で1ドルになった場合は、10円分の利益が発生します。このように、為替相場は常に変動しており、その変動幅や方向によって外貨預金の価値が変わります。

 

2. 外貨預金の相続税評価額の計算方法

 相続した外貨預金は、相続が開始した日の時価で評価します。この時価は日本円で計算する必要があります。相続税の申告書には、外貨預金の数量や単価、評価額などを記入します。海外の金融機関にある外貨預金も見落とさないようにしましょう。

 

・相続開始日(被相続人の死亡日)の「対顧客電信買相場(TTB)」で評価する
相続した外貨預金は、相続開始日における最終の対顧客電信買相場(TTB)を用いて日本円に換算します。TTBとは、顧客が外貨を売るときに使う為替レートです。
なお、為替レートには、対顧客電信買相場(TTB)の他に、対顧客電信相場仲値(TTM)、対顧客電信売相場(TTS)があります。
具体的な評価額の計算方法は次のようになります。
例えば、相続開始日に1万ドルの外貨預金を相続したとします。このとき、仮にTTBが120.44円だったとすると、評価額は1万ドル×120.44円=1,204,400円となります。
このようにして、相続した外貨預金の評価額を求めることができます。
(贈与があった場合も同様に、贈与日のレートで評価し、贈与税を計算します。)

 対顧客電信買相場(TTB)を確認する時には、被相続人又は相続人の取引金融機関の為替レートを使います。取引金融機関のうち、どの金融機関の為替レートを採用するかは任意ですから、有利な為替レートを採用するようにしましょう。また、取引金融機関がない場合や過去の為替レートを公表していない場合は、任意の金融機関の為替レートを使用します。為替レートは残高証明書に記載がある場合もありますが、記載がない場合でも、ホームページや窓口に問合せすることで確認できます。
 なお、相続開始日が土日祝日で金融機関が休みの場合は相場がなく取引レートは公表されないため、その日より前のもっとも近い日の相場で評価します。
参考URL:外貨(現金)の邦貨換算|国税庁 (nta.go.jp)

 

3.海外の金融機関にある外貨預金を相続する場合

 外貨預金は、日本の金融機関でのみ外貨預金に預け入れしているとは限りません。
被相続人が海外での生活が長い場合など、海外の金融機関で外貨預金をしていることもあるでしょうが、相続人も被相続人も10年以上日本に住所がない場合等、特殊な場合を除き、海外にある財産であっても日本の相続税の課税対象となります。

 日本の税務当局は、世界各国と金融情報を交換していますから、海外の金融機関にある外貨預金の情報も把握しています。海外の金融機関にある外貨預金や海外にある土地等の不動産など、海外にある財産は見落としがちです。申告漏れの無いように注意しましょう。
申告漏れを防ぐためには、生前のうちに、海外にどのような財産を保有しているか確認しておくことが有効ですが、亡くなった後、海外にある財産を確認するには、被相続人宛の郵便物や記録の他、所得税の申告書に添付されている「財産債務調書」「国外財産調書」等で確認することができます。
 また、海外にある財産は、現地国の税金が課税されることもありますので、注意が必要です。

なお、相続税の納税は外貨預金そのままではできず、日本円でしなくてはなりません。外貨預金を日本円に換えるか、別に日本円で納税資金を準備する必要があります。


・ここで確認!海外の金融機関で外貨預金をするメリットとデメリット
海外の金融機関にある外貨預金には、以下のようなメリットやデメリットがあります。


◎メリット3つ

  1. 海外の金融機関によっては、日本よりも高い金利を提供している場合があります。その場合、外貨預金で高い利息収入を得ることができます。
  2. 海外の金融機関にある外貨預金は、日本円に換算しないでそのまま使うことができます。そのため、海外旅行や海外送金などに便利です。
  3. 海外の金融機関にある外貨預金は、日本円と異なる通貨の価値変動によって為替差益を得ることができます。円安になった場合、円に換算すると元本以上の収益が得られる可能性があります。

 

◎デメリット3つ

  1. 海外の金融機関にある外貨預金は、日本の預金保険制度の対象ではありません。そのため、海外の金融機関が破綻した場合、預け入れた資産を失うリスクがあります。
  2. 海外の金融機関にある外貨預金は、日本円と異なる通貨の価値変動によって為替差損を被ることがあります。円高になった場合、円に換算すると元本割れとなる可能性があります。
  3. 海外の金融機関にある外貨預金は、円から外貨へ、または外貨から円へ交換する際に為替手数料がかかります。そのため、収益以上の手数料がかかる可能性があります。

 

4.まとめ:外貨預金にかかる相続税は専門家である税理士に相談!

外貨預金に相続税がかかるのか?
外貨預金の相続税評価ってなんだか難しそう?

不安な場合は、税の専門家である税理士に依頼することをお勧めいたします。
外貨預金の相続・相続税の手続きについて、もっと知りたい、ご不明な点があれば是非、増田浩美税理士事務所までお気軽にご相談ください。

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