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相続お役立ち情報
【相続した不要な山林 物納は可能か?】納税通信3775号 vol.3June 12, 2023 |
相続税 |
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Q3 相続した不要な山林 物納は可能か?
先日亡くなった母の相続財産の中には、売却はもちろん、維持・管理していくのも難しそうな山林の土地があります。預貯金もありますが、物納を選択して山林やその他の不動産で相続税を支払いたいのですが、手続きは簡単にできますか?
A3 管理や処分に多額の費用がかかる不動産は物納できないこともあります。
国税は、金銭で納付することが原則ですが、相続税については延納しても金銭での納付が困難であれば、納税者の申請により、その納付を困難とする金額を限度として物納が認められています。申請できる財産と順位は、次の通りです。
第1順位―不動産、船舶、国債証券、地方債証券、上場株式等
第2順位―非上場株式等
第3順位―動産
「金銭で納付することを困難とする事由」があるかどうかは、納税者が相続により取得した財産の状況、納税者自身の資産所有状況や収入状況等を総合的に勘案して判定することになります。
ただし、「その管理又は処分を行うために要する費用の額がその収納価額と比較して過大となると見込まれる不動産」などは、そもそも管理処分不適当な財産として、要件を満たさず物納に充てることができない財産とされる可能性があります。山林を放棄したいと考える人もいるかもしれませんが、遺産相続自体を相続放棄すると他の資産も相続することはできません。
山林の評価は路線価がある場合は路線価図に記載されている1㎡あたりの評価額×面積、路線価がない場合は固定資産税評価額×倍率で計算を行います。倍率は地域ごとに規定されており、国税庁のホームページで確認することができます。
また、境界や面積を特定するために測量が必要なケースもありますが、測量の際にも費用がかかります。測量をする際には信頼のおける業者を紹介してもらうようにしましょう。
山林を相続する場合の注意点
当記事で解説したケースのように山林を相続する場合、売却や処分できず、固定資産税を支払う必要が生じるため、相続した者に負担がかかる可能性があります。物納制度の許可も下りず、売却や寄付をすることもできない場合は、相続するしか選択肢がなくなることもあります。
評価が低く、造成して宅地転用して建物を建築して利用することも難しい場合に法律上の法定相続人で共有するケースも多くあります。
しかし、共有にして所有者が多くなってしまうとさらに処分が難しくなるだけでなく、その後、時間が経過すると更なる相続が開始した時にどんどん関係が希薄になっていきます。市街地に近い区域の山林で売却することができる状態になったとしても権利を持つ人全員の手続きが必要ですので、書類のやり取りや意思を確認する方法が非常に難しくなります。
そのため、相続人全員で共有することはどちらが費用を負担するかなどで後々問題となる事例も多いのでおすすめできません。
相続人の内、近く人住んでいるなどが理由で誰か一人で相続する場合は、固定資産税などの税負担や登記、管理にかかる費用分を考慮し、その分金融資産を他の相続人以上に引き継ぐようにするなど、配慮した遺産分割の案にすることを検討してみてもよいでしょう。
山林を保有している場合はできれば生前に遺言書を作成し、相続人が話し合って判断する必要がないようにする方が、それぞれの負担は小さくなるでしょう。遺言書を作成する際は財産の一覧の表を作成し、家族の事情も踏まえて内容ごとに誰に何を相続されるのが、ふさわしいか検討することが重要です。
生前に遺言書を書いて指定しておくことで、小規模宅地の特例等も最大限活用し節税をすることもできます。また、遺言を先に書いておけば遺産を適切な割合で分けることができますし、山林を相続させる場合は生前に山林を引き継ぐことでかかる税額や管理にかかる費用を贈与しておくことも可能です。財産が基礎控除以内であれば、相続税はかかりませんが、山林を遺贈することで、相続税以外でも一定の負担がかかり続けることにも配慮した遺言を書くか、生前贈与をするなどの対応を決定することで、後々の兄弟間等でのトラブルを避けることができます。また、相続人にも配分のポイントを自分の口から説明しておくことも重要となります。
なお、知識が無く、相続する山林など不動産の評価額の調査が難しい場合は、税金のプロである税理士に相談し、参考にするようにしましょう。被相続人の死亡の翌日から10ヶ月と短い期間内に税務署に申告書を提出する義務があり、各種特例なども考慮して計算する必要があります。税金の計算方法は法律で定められており、国税庁のホームページにも掲載されていますが、慣れていない人には簡単ではないでしょう。相続税に強い税理士に依頼することで、費用はかかりますが、後で税務調査で指摘されて加算税を請求されることはありませんので、安心して進めることができます。
物納によって相続税を納税したい場合には、相続税の申告期限までに申請しなければなりません。
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