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【墓地購入の残債 相続で債務控除可能?】納税通信3768号

April 19, 2023

相続税

Q3 墓地購入の残債 相続で債務控除可能?


高齢で遠方にある墓地への参拝が困難になっており、近くにお墓を買い替えることを検討しています。その際、高額のため、費用は分割払いにしようと考えていますが、もしも払いが残っているうちに私が死亡したら、未払金はお葬式の費用のようにマイナスの財産として相続税法上の債務控除できますか?


A3 お墓などの相続税非課税財産の未払金は債務控除の規定を適用できません。


相続税の計算上、亡くなった方が生前に残した借入金などの債務は、その遺産総額から差し引くこと(債務控除)ができます。相続人が払うことになる葬式の費用も債務控除の対象となりますので、相続税の申告の時にかかった額が分かるようにしておく必要があります。ただし、被相続人が生前に購入したお墓の未払代金など相続税法上の非課税財産に関する債務は適用外とされています。


相続税法上の非課税財産は、墓所、霊廟、祭具、庭の祠、神棚、神体、神具、仏壇、位牌、仏像、仏具、古墳などで、日常的に礼拝されているものが該当します。ただし、商品、骨とう品または投資の対象として所有するものは対象外です。


ただし、全ての人に相続税がかかるわけではありません。相続税は基礎控除を超える場合のみかかります。基礎控除は3,000万円+法定相続人×600万円で計算を行います。基礎控除に算定される人数はあくまで法定相続人の数によって決まりますので、遺言によって孫などが受遺者となっている例でも人数が増えることはありません。

債務控除の範囲

財産の計算は預金や株式などのプラスの資産から借金などマイナスの財産を差し引くことになりますが、住宅ローンなど団体信用生命保険などを利用することで、死亡と同時に債務が弁済され、支払う義務がないものについては、相続人が返済する必要がないため、債務として控除することはできません。アパートなどの建物を賃貸物件として貸している場合の敷金は賃借人が退去した時に修繕費を支払った残額を賃借人に返済する必要があるため、債務控除の対象となります。


保証人となっている場合の保証債務、連帯保証の債務については原則、債務控除の対象となりませんが、相続発生時点で主たる債務者が弁済不能となっており、被相続人の負担額が明らかになっている場合は債務控除の対象となります。他にも亡くなるまでに使用していたガス、水道、光熱費も債務として控除することが可能です。


被相続人の財産が基礎控除の範囲で収まる場合は具体的に各財産を評価する必要はありませんが、基礎控除を超えるか微妙な場合や、金融機関の取引や生命保険の保険金などもふくめていくらあるかわからない場合はしっかりと評価を確認してから判断するようにしましょう。


被相続人が多重債務者となっている場合などで、マイナスの財産が多い場合は相続放棄をすることで、弁済する義務はなくなります。相続放棄は相続開始後3カ月以内に家庭裁判所で手続きをすることができます。3カ月以上経過すると、相続放棄をすることはできませんので、債務がある場合は契約書などを確認し、早めにプラスの金額とマイナスの金額を調査して確定しておくようにしましょう。また、相続放棄をする場合は、自分が放棄をすることで他の相続人が多く負担を承継することになり、トラブルになる事例もあります。相続放棄をする場合は他の相続人にも連絡してから手続きを進めるようにしましょう。

判断に迷う場合は税理士に確認を

今回の記事では墓地購入費用の残債について解説しました。相続税は相続発生後10ヶ月以内に税務署に申告書の提出と納付を完了させる必要があります。期限も短く、税金を払わなければ、延滞となりさらに重い税金が課されます。財産を取得する人は納税の責任があります。


しかし、相続税は財産を取得する割合などによっても金額が変わるため、知識が無い人が実際に自分で計算することは難しいものです。もし親族が特例の適用可否などを誤って判断して申告をした場合、税務調査を受け、指摘される可能性があります。税務調査で申告漏れなどを指摘されると、加算税を請求され、余計に税金がかかる可能性もあります。


税理士は国から認められて相続人の代わりに業務として申告をすることができる税の専門家ですので、税理士にサポートを依頼することで確実に手続きを進めることが可能です。


不動産の評価方法や特例の適応可否の判断、税額の計算や相続が発生する前に、シミュレーションを行って遺言などの相続税対策や遺産分割についても相談することが可能です。ローンなどの負債がある場合は生前に遺言書を作成し、プラスの財産とマイナスの財産を引き継ぐ人を指定しておいたほうがよいでしょう。また、遺言で執行(手続き)を行う人を決めておくことでスムーズに手続きを進めることができます。


また、所得がある場合は、所得税と住民税を支払うために4ヶ月以内に準確定申告が必要となり、相続を受ける相続人に納税義務が生じますが、あわせて対応を依頼することも可能です。確定申告も依頼する場合は、所得がわかるものや医療費など控除できるものを提出するようにしましょう。ただし、税理士にも専門分野がありますので、相続税や相続税と関係が深い贈与税に強く実績のある税理士事務所・税理士法人に依頼することをおすすめします。


申告を依頼した場合は費用がかかりますが、初回の相談は無料で応じてもらえるケースが多いです。申告にかかる費用は課税の対象となる財産の内容によって決まることが多いので、プラスの財産としては預貯金や株式などの時価がわかるものや土地の登記簿や固定資産税などの評価明細などがあるとよいでしょう。未払いの債務がある場合も一覧にして持っていくようにしましょう。正式に依頼する場合は、税理士報酬の見積もりをしてもらって金額を確認してから依頼する方がいいですが、まずは気軽に電話やメールで相談することをおすすめします。税理士を知り合いから紹介してもらうことが難しい場合はホームページで検索してみるとよいでしょう。


 債務を遺産総額から差し引くことができる人は、相続や遺贈で相続財産を取得した時に日本国内に住所があることなどの一定の要件を満たす者で、実際にその債務を負担することになる相続人等です。


納税通信 』 は、オーナー社長向け財務・税務専門新聞です。 発刊から約70年、経営者のみならず、会社経営のパートナーである税理士等専門家からも貴重な情報紙として多くの支持を得ています。


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