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【兄弟姉妹の相続 異母でも権利あり?】納税通信3765号 vol.3

March 27, 2023

相続税

Q3 兄弟姉妹の相続 異母でも権利あり?


私の兄は父の再婚前の妻の間に生まれた子で、私と弟は父の再婚後の子です。私は未婚で子どももいません。すでに父も母も他界しており、兄とは長い間連絡をとっておらず疎遠です。もしも私が死んだら、異母兄にも相続する権利はあるのでしょうか?


A3 異母兄弟にも相続権が発生しますが、相続割合は2分の1です。


今回のケースでも前妻は離婚した際に相続権を失いますが、後妻は相続開始まで離婚しなければ相続人となります。子どもからみれば異母・異父の兄弟姉妹であっても、被相続人である親からすれば戸籍上の実子であることに変わりありません。また、婚外子であっても、認知をしていればその人の子供ということになりますが、相続発生後に他の女性との間に子供がいることが発覚することもあります。子どもは第一順位の相続人と定められていますので必ず相続人になります。


異母兄弟であれば父が亡くなった時には、両親が同じ兄弟姉妹は相続放棄をしない限り、同様に相続権がありますのでこの事例では異母兄弟となっている兄は相続人として遺産分割の協議に参加することになります。


また、兄弟姉妹の相続でも、異母兄弟にも相続権が発生します。ただし、この場合の相続割合は両親が同じ兄弟姉妹の2分の1です。相続が発生した時点で存命の場合は本人が相続人となりますが、本人が既に亡くなっている場合はその子供が相続人になる場合もあります。


仮に質問者さんが死亡した後、兄と弟が同じ両親であれば財産は半分ずつ相続することになりますが、母親が異なる異母兄弟であるお兄さんは3分の1、両親が同じ弟さんは3分の2となり、母が異なるお兄さんの2倍相続する権利があります。

異母兄弟がいるときの注意点と事前対策

異母兄弟がいる場合の注意点と具体的な対処法について以下に説明していきます。


異母兄弟がいるときは感情的なことが理由となり相手側から協力が得られず遺産分割がスムーズにいかないことが少なくありません。遺産の配分は必ず全員で話し合いを行い合意する必要がありますので、親族の中に誰か一人でも手続きに協力してくれない人がいると、進め方は非常に難しくなります。そのため、今の気持ちをしっかりと考えて遺言書を作成して分割の方法を決めておくことをおすすめします。


配偶者がいる場合でも子供がいなければ配偶者と兄弟が民法上の法定相続人となります相続財産を取得する権利を持ちます。すべての財産を配偶者に取得させようと思っている場合は具体的な内容で遺言を作成する必要があります。異母兄弟など疎遠で財産を渡したくない人がいる場合も遺言書を作成しておいたほうがおいでしょう。遺言で意思を示しておくことで財産配分がスムーズになるというメリットがあります。遺言の書き方についてわからない場合は、専門家に相談するか、市区町村役場で開催されている無料の相談会を開催している場合もありますので、活用してみても良いでしょう。


兄弟姉妹には法定相続分がある例でも最低限取得できる権利である遺留分がありませんので、遺言をのこして しっかりと対策をしておけば遺留分の侵害分を請求されることはありません。財産を調査し、一覧のまとめを作成し内容を検討したうえで先に必要な対策を行うことで家族の負担を軽減することができます。特に東京などアクセスの良い場所に自宅がある場合、他の相続人に放棄をしてもらわないと自宅を引き継げない可能性もありますので、よく考える必要があります。


また、当記事で解説したケースのように異母兄弟がいる場合は連絡を頻繁に取れないケースも多いので、手続きに対する対応も必要となる可能性があります。遺産を分けるためにさまざまな手続きが必要です。異母兄弟の住所や連絡先が分からない場合でも戸籍謄本と戸籍の附票を取得することで住所が記載されていますので、手紙を書いて連絡することはできるでしょう。手紙を書いても一切返事がない場合は調停や審判等の手続きを行う必要があります。


気軽に手続きのお願いができるような関係でない状況の場合は遺言書どおりに金融機関の名義変更や不動産の登記手続きをする執行者を指定すること検討してみましょう。執行者は相続人のうち誰か代表して務めることもできますが、知識のない人が進めることは簡単ではありません。費用はかかりますが弁護士や司法書士などの専門家に依頼することも可能です。遺産相続でトラブルに発展しそうな場合は問題が発生する前に専門家に依頼することをおすすめします。知り合いに紹介してもらうことが難しい場合は弁護士のサイトなどで検索していただくとよいでしょう。


相続税の申告が必要な場合は、相続税額の計算も行い10ヶ月以内と短い期間で完了させる必要があります。相続税の制度は複雑で不動産の評価なども経験がない人に取って期限内に進めることは簡単でありません。金融機関や不動産登記など別の手続きで忙しい中で、さまざまなことを確認しながら進める必要があり、関係者にもそれぞれの事情がありますので、期限には注意が必要です。相続手続きがスムーズにできないリスクがある場合はや書類の書き方が分からない場合など自分で進めることが難しい場合は、電話やメールなどで気軽に相談してみるとよいでしょう。業務として普段から手続きを行っている専門家にサポートを依頼することで安心して手続きを進めることができます。


 父親の相続時には、異母兄弟も両親が同じ兄弟と同様に遺留分がありますが、兄弟の死後は、異母兄弟も両親が同じ兄弟姉妹と同様に遺留分がありません。不要な争いを避けるためにも、生前に遺言書を残しておくことも検討しましょう。


納税通信 』 は、オーナー社長向け財務・税務専門新聞です。 発刊から約70年、経営者のみならず、会社経営のパートナーである税理士等専門家からも貴重な情報紙として多くの支持を得ています。


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