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【一人息子が相続放棄 注意すべき点は?】納税通信3761号 vol.2

February 22, 2023

相続税

Q2 一人息子が相続放棄 注意すべき点は?

 

 私は1人息子のため、最終的には両親の財産をすべて相続することになります。今のところ収入も安定し生活するための金に不安はないため、父または母の死亡時には、ひとまず相続放棄をして、残された父または母の生活の安定を考えたいと思っています。なにか注意すべきことはありますか?

 

A2 相続権が第2順位以下の者に移るため、親族でいらぬ争いが生じるかもしれません。

 

 相続放棄とは、亡くなった人(被相続人)の財産について相続の権利を放棄することです。被相続人が多額の借金を残していた場合などには相続放棄が有効です。相続放棄は家庭裁判所で相続発生後3カ月以内に申請を行う必要があります。相続を放棄は単独で相続放棄をすることが可能で、相続放棄をすることでプラスの資産も引き継ぐことはできませんが、債務などマイナスの資産も引き継ぐことはありません。

 配偶者の相続権には順位がありません。そのため、配偶者が相続放棄をしても、新たに相続権を取得する人はいません。しかし、当記事の事例のように第1順位の子が全員相続放棄をすると、子は最初から相続人として存在していなかったことになるため、第2順位の直系尊属である父母(亡くなっている場合は祖父母)へ、第2順位となる親がいない場合は兄弟姉妹が相続人になります。さらに、兄弟や姉妹が先に亡くなっていれば、代襲相続でその子ども(甥や姪)が相続権を取得します。

 自分が相続放棄をすることで遺産の割合などで無駄な争いごとやトラブルが生じ、親族に迷惑がかかる可能性もありますので、相続放棄をする際は、他の相続人に与える影響等も考慮し、問題がないかポイントをおさえて慎重に判断しましょう。

 

 今回解説したケースのもうひとつの注意点としては二次相続での相続税の負担が大きくなることです。二次相続とは両親が二人とも亡くなるタイミングのことで、一次相続で遺された配偶者が預貯金や不動産などすべての財産を引き継ぐ関係で二次相続発生時に財産が大きくなってしまい、相続税が多くなる可能性があります。一次相続と二次相続の合計で考える必要があります。

 

 計算方法がわからない場合は費用はかかりますが、財産の内容をを一覧にして税理士にシミュレーションの作成をサポートしてもらうとよいでしょう。

 

 早めにシミュレーションをして特例の利用可否も確認しておくことで、遺言書の作成や遺産分割の方法を検討するだけでなく長い期間をかけて、贈与などさまざまな対応方法で相続税対策を行うことができるというメリットがあります。税理士を知り合いに紹介してもらうことが難しい場合はサイトで探してみてもよいでしょう。初回の相談をサービスで無料で応じてくれるケースもありますので、相談したい内容を伝えてみるとよいでしょう。

 

 また、相続発生後の相続税の申告期限は10ヶ月以内と短く、生前にシミュレーションを行っておくことで、実際に相続が発生した際も書類の作成などに時間をかけることなく手続きが可能となるため、安心です。

 

 

 相続財産を分ける際には、必ずしも法定相続分どおりに分ける必要はありません。相続放棄をしなくても、相続人全員での合意が得られれば、どのような分け方も認められます。

 

 

納税通信 』 は、オーナー社長向け財務・税務専門新聞です。
発刊から約70年、経営者のみならず、会社経営のパートナーである税理士等専門家からも貴重な情報紙として多くの支持を得ています。

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